ソテツの花が咲いて実?がなった…食べられる? 「ソテツは恩人」非常食として食べる地域も…「生きている化石」恐竜も食べていたかも

鳥取県米子市の湊山公園で育てられている由緒ある「ソテツ」は、樹齢は推定370年とも言われています。その「ソテツ」に去年、およそ10年ぶりに花が咲き、今年になって「実」のようなものができているのが分かりました。果たして「実」なのか、その正体は…?

先月、春らしさを感じる陽気の中、米子市の湊山公園で行われたのは、春の風物詩、「ソテツ」のこも外し。4か月ぶりに、ソテツが元気な姿を現しました。

すると…

去年、およそ10年ぶりに咲いたソテツの花の中に、何やら見慣れないオレンジ色をした物体を発見しました。これは一体…?

米子市 都市整備課 池口智子係長
「昨年、花も咲きましたし、その花から実もついているのが見られましたので、とても縁起の良いもので嬉しく思います」

なんと、花に続いて今度は「実」がついた?

ソテツの「実」は、もしかして食べられるのでしょうか。植物に詳しい専門家に聞いてみました。

鳥取県 自然観察指導員 鷲見寛幸さん
「これは正確に言いますと、実というのは果実ですけど、じつは種子でして、ですから種と呼んだ方が正確です」

ソテツの「実」だと思っていたこれ、「種」だそうです。

ならば、食べられるのでしょうか?

鳥取県 自然観察指導員 鷲見寛幸さん
「この種にはすごく栄養が豊富でデンプンを多く含んでいます。
(Q.食べられるのですか?)食べられますが、実は種には有毒な物質があり、毒抜きをする必要があります。毒抜きさえしっかりすれば、十分食べられます。実際、南西諸島で飢饉や食糧不足のときには食べていたと聞いています」

奄美大島などでは、ソテツを食べる文化があるのだそう。
一体、どのようにして食べているのか島の方に聞きました。

奄美市立奄美博物館 喜友名正弥 学芸員
「(奄美大島では)おかゆにして食べます。非常食として利用されていて、お米と一緒にソテツを砕いて水にさらして毒を抜いて、粉状にするんですけども、お米と一緒に混ぜておかゆにして食べます」

奄美大島の人々にとって、ソテツは最も身近で、なくてはならない植物だと言います。

奄美市立奄美博物館 喜友名正弥 学芸員
「本もありますけども、ソテツは恩人という。奄美の人たちにとっては自分たちを助けてくれた、なくてはならない、恩人のようなものという認識です」

一方、植物に詳しい鷲見さんは、ソテツについてこんな話も聞かせてくれました。

鳥取県 自然観察指導員 鷲見寛幸さん
「実はソテツは『生きている化石』と呼ばれてまして、今から1~2億年ぐらい前の恐竜がいちばん繁栄した頃にソテツも繁栄していました。草食の恐竜はおそらく栄養価の高いソテツを食べていたんじゃないでしょうか」

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