青森市浪岡で乗り合いデマンド交通スタート

青森市浪岡地区で新たに始まったワゴン車によるデマンド交通=15日午前、浪岡病院

 青森市は15日、浪岡地区の新たな地域公共交通として、乗車定員10人のワゴン車を使い、乗り合いのデマンド交通の運行を始めた。日時、乗降場所など利用者の予約に応じて地区内を走り、ルートは人工知能(AI)が設定する。利用者数が低迷していた従来のコミュニティーバスから転換を図った。名称は「浪岡AIデマンド交通(通称・のりAI=あい=)」。

 同地区のコミュニティーバスは、事前に運行時刻や走行ルートが決まっている路線バスの形で2009年から運行され、主に買い物や通院などに使われてきたが、近年は利用者が減少していた。

 地域公共交通の抜本的見直しのため、市が地元関係者らと昨年つくった研究会が調査したところ、便数の少なさや発着時間、ルートについて住民から改善を求める意見が多く出た。市はデマンド交通導入を機に、コミュニティーバスの運行を3月29日で終えた。

 15日に市役所浪岡庁舎で行われた出発式で、西秀記市長は「子どもから高齢者まで、どなたでも移動しやすい持続可能な公共交通として運行していく」とあいさつ。関係者らがテープカットで祝い、導入されたワゴン車3台が発車した。

 同日、浪岡病院まで利用した主婦鎌田律子さん(74)は「乗り心地も良く、便利で助かる。みんなで使ってみんなで笑顔になれれば」と話した。

 同日の乗車予約は31件40人(13日時点)。市は本年度1万人の利用を見込み、将来的には年間3万人を目指す。本年度は実証実験として運行し、成果を検証した上で来年度からの本格運行に移る予定。

 利用には電話かウェブでの予約が必要(ウェブ予約は22日開始)で、運行時間は月-土曜日の午前8時~午後5時。

 利用料金(片道)は、1人のみの利用で400円、2人利用で1人300円、3人以上利用で1人200円となる。支払い方法は現金のほか、キャッシュレスに対応する。小学生以下や障害者手帳を持つ人は無料となるほか、「いき・粋乗車証」で100円。浪岡病院利用者には病院が無料券を発行する。

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