石川県ご当地「能登丼食堂」福井県に4月19日オープン 焼失、倒壊で組合の8割被災…新天地で踏み出した一歩

「能登丼を味わい、復興後に現地を訪れるきっかけにしてほしい」と話す日向さん=4月15日、福井県福井市のミニエ

 能登半島地震で甚大な被害が出た石川県奥能登地域のご当地グルメ「能登丼」を提供する食堂が4月19日、福井県福井市中心市街地にオープンする。奥能登4市町で能登丼を出していた店の多くが被災した中、福井の食堂を切り盛りする石川県輪島市の女性は「能登の恵みの食材を味わってもらい、復興後の能登を訪れるきっかけになれば」と地元への思いも丼にのせる。

 「能登丼食堂」は、福井駅西口の再開発エリア「FUKUMACHI BLOCK(フクマチブロック)」内のフードホール「MINIE(ミニエ)」にオープンする。奥能登の42店でつくる能登丼事業協同組合が運営する。

 切り盛りの中心になる日向文恵さん(65)は、輪島市の山あいで500年以上の歴史がある慶願寺住職の妻。寺の渡り廊下や庭を生かしオープンカフェ「木の音」を2005年から始め、23年3月に組合の理事長に就任した。

 日向さんによると、能登半島地震で組合加盟店のうち、自宅や店舗が焼失・倒壊したり、厨房が使えなくなったりするなど約8割が被災。自身の寺も半壊した。今も避難生活を強いられ、営業しているのはわずか2店。店の再開を断念するケースが出始める中、ミニエ側から組合に出店を打診された。「何かしなければ組合は終わってしまう。組合員が一歩でも前に進むきっかけになれば」と決意した。

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