コロナ検査不正申請で栃木県が返還命令、2業者不服 制度設計、チェックに甘さ 識者「検証が必要」と指摘

コロナ無料検査事業の申請書類。補助金交付に必要な「実績報告書」の記入項目は、検査件数や陽性者数など最低限のものだった

 新型コロナウイルスの無料検査事業で補助金の不正申請があったとして、栃木県が先月下旬、医療関連の2事業者に計約8385万円の返還命令を行った。同事業を巡る不正は全国で相次ぎ、埼玉県などでは業者が詐欺容疑で逮捕されている。不正が横行した背景には、パンデミック(世界的大流行)の中で対策を急ぎ、制度設計やチェックに甘さがあったとみられる。識者は検証の必要性を指摘する。

 「取引業者からの依頼で下請けで検査をしたが、(実際は)僕らが主体でやったことになっていた」。返還命令を受けた「メディトランセ」(東京都)の社長は取材にそう説明し、「業者の指示で、県から振り込まれたお金は業者に送金した」と語った。

 同社はJR宇都宮駅周辺の3カ所に検査所を開設し、約4730万円の補助金を受けた。県はこの全額の返還を求めている。

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