難病・滑脳症で「長くて2年」と宣告された寝たきり天使、23歳になりました 母「これからも親子で楽しく」

さまざまなサポートを受けて23歳になった有木真帆さん(左)と母親の真樹さん(右)=姶良市加治木の自宅

 脳の先天的な異常で「長くて2年の命」と宣告された娘の育児体験をつづった本が約20年前、大きな反響を呼んだ。鹿児島県姶良市加治木の有木真樹さん(49)著の「寝たきり天使・真帆」(講談社刊)。漫画化もされ、「その後」が気になっていた人もいるだろう。娘の真帆さんは元気に23歳を迎えていた。今も全面介護が必要だが、ディズニーランドやアイドルのコンサートも楽しんだという。

 真帆さんは生後1カ月で脳のしわが少ない難病・滑脳症と診断された。身体的、知的に重度の障害がありほぼ寝たきりだ。ただ、話しかけると声を発して返事をしたり、表情に喜怒哀楽を出したり「意思疎通は図れる」。東京ディズニーランドとアイドルグループ「嵐」のコンサートに行き、成人式の際は振り袖を着て会場で記念撮影した。

 幼少期、誤嚥(ごえん)による肺炎で入院することが多かったため、胃ろうの手術を受け腹部から栄養を補給。2年前、けいれんを抑えるための機械を左胸に入れ、夜間は人工呼吸器を装着している。

 真樹さんは同居する両親と介護するが、当初より医療福祉の制度が充実し負担は軽くなった。週4回、日中は通所施設に預け、週3の訪問看護と訪問介護、週2の訪問リハビリを利用。医師にLINEで相談することもできる。

 「さまざまなサポートのおかげで少し余裕ができた」と真樹さん。30周年を迎えた在宅障害児(者)を抱える親の会「いちごくらぶ」の代表を務め、横の連携を深めている。

 次の目標は、親亡き後に安心して託せるグループホームをつくることだ。訪問介護事業所で働く傍ら、介護福祉士、社会福祉士の資格を取得した。

 「これからも親子で楽しいことを見つけてやっていきたい」。真帆さんが25歳になったら再びディズニーランドに行く約束をしているという。

2003年末に刊行され大きな反響を呼んだ「寝たきり天使・真帆」

© 株式会社南日本新聞社