青森市の老舗ジャズ喫茶「disk」今夏復活 前オーナーの長男継承「自分の人生そのもの」

新生「disk」開業予定の建物内で笑顔を見せる鳴海沖人さん(右)と父・廣さん

 2022年に閉店した青森市新町の老舗ジャズ喫茶「jazz time disk」が今夏、同市奥野2丁目にある金融機関の旧店舗を活用し、空手道場、学習塾などを併設した複合施設として復活する。前オーナー鳴海廣さん(88)の長男で、空手指導者の鳴海沖人(おきと)さん(53)がクラウドファンディングで開業資金を募るなど準備を進めており、「地域のさまざまな人たちが集まる拠点にしたい」と意気込む。

 「jazz time disk」は1972年、廣さんが同市古川にオープン。80年からは同市新町の柳町通りで営業を始めた。本格的な音響設備と豊富なレコードで市内外のジャズファンに愛されたが、廣さんの体力的な衰えもあり、2022年5月に閉店している。

 音響設備や大量のレコードは沖人さんが保管することになったが、幼い頃から店に入り浸り、手伝いもしていた沖人さんにとっては宝の山。閉店後から「disk復活」の思いを抑えられなくなったといい、同市で学習塾を経営する青山潤さん、八戸市のアートコーディネーター今川和佳子さんら知人の協力を得てジャズ喫茶、学習塾、空手道場などを組み合わせた施設のアイデアを思いついた。

 「diskは自分の人生そのもの。自分にできる形でその名を残したかった」と沖人さん。22年8月、新極真会青森支部長の職を辞して退路を断つと、23年8月には事業主体「disk株式会社」を立ち上げた。

 プロクレアホールディングス(HD)「地域共創ファンド」の投資も受け、青い森信用金庫筒井支店の旧店舗1階をジャズ喫茶、学童保育、学習塾、2階を空手道場に改装。オープンは7月1日を目指している。

 8日、工事前の建物に姿を見せた廣さんは「息子は私と同じで妥協しない。楽しみが無限に広がる」と期待。これまでの音響設備やレコードは全て新店舗に引き継ぐ予定で、「しょっちゅう顔を出して、手伝いもしたい」と笑顔を見せた。

 ジャズ喫茶はアルコールなしで原則日中のみ営業し、土曜日はアルコール提供を含む夜の営業も行う予定。学習塾や学童保育を利用する子どもたちもジャズを楽しめるようにする。

 沖人さんは「子どもから大人まで幅広い人たちが集い、交流する場所になれば。この街を良くするため、多くの人たちに関わってもらいたい」と語った。

 クラウドファンディングの問い合わせなどは沖人さん(電話080-6007-4798)へ。

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