「足がつる!」を日頃から防ぐ「波止場のポーズ」とは?【こむら返り】

突然、ふくらはぎの筋肉がつり、ふくらはぎに激痛が走る「こむら返り」。痛くてつらいですよね。こむら返りが起きないようにするためには、どうしたらいい? 出沢明PEDクリニック院長の出沢明先生に、対処法を教えていただきます。こむら返りを予防する「波止場のポーズ」と、座ったままできる簡単なストレッチです。

★「足がつる!」緊急対策はこちら★

こむら返り予防に「波止場のポーズ」

ふくらはぎの疲れやむくみは、歩行中や就寝中の足のつりやこむら返りの原因になります。日中に足の疲れを感じたら、「波止場のポーズ」で予防しましょう。

その名の通り、往年の映画に登場するマドロス(船乗り)が、波止場のシーンで決めるポーズに似たストレッチです。とても簡単ですが、ふくらはぎの腓腹筋だけではなく、ひざ裏からハムストリングス(太ももの裏の筋肉である大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋の総称)まで、下肢の裏側全体を、無理せず気持ちよく伸ばせます。

足のつりやこむら返りを起こしやすい人が硬くなりやすいひざ裏もしっかりとほぐすことができ、ふくらはぎの血行を促進するため、疲労回復をサポートする効果も期待できるのです。

実際に、このポーズを日常生活の中で継続的に行ったところ、足の筋力がつき、就寝中のこむら返りが起きなくなったという患者さんはたくさんいます。

階段やいすなどのちょっとした段差があれば、簡単に行うことができます。外出、立ち仕事、ウォーキング、運動の前後や、就寝前などのタイミングで、ぜひ毎日2~3回ほど続けてみてください。

「波止場のポーズ」のやり方

【1】しっかりしたいすか階段などに片足を乗せて、両手を太ももの上に置く

【2】大きく息を吐きながら、前の足に体重をかけ、後ろ足のかかとを床につけたまま、ふくらはぎとひざ裏をゆっくりと伸ばす。

そのまま深く呼吸を続けながら、ポーズを30秒キープする

【3】少し腰を落とし、かかとを床につけたまま後ろの足のひざを曲げて5秒キープする。

左右の足を入れ替えて、反対側も同様に行う

POINT
*前の足に体重をかけたときに、後ろ足のかかとが上がらないように注意する
*ひざが伸びない人は無理に伸ばそうとしないこと。「波止場のポーズ」を続けるうちに柔軟性がついてくる
*1日に2~3回を目安に行うとよい
*いすや段の高さは30~50cmくらいがベスト

すき間時間に「座ったままストレッチ」

デスクワークや映画鑑賞など、長時間座って過ごしたときに、足が重だるく感じられることがあるでしょう。

ふくらはぎは血液のポンプである心臓から遠いので、座ったまま筋肉を動かさずにいると、血液やリンパの循環が悪くなり、むくんだりこわばったりしやすいのです。

血液やリンパの流れが悪くなると、足先が冷えたり、本来ふくらはぎに供給されるべき酸素や栄養素が少なくなったりします。これが、足のつりやこむら返りを引き起こす場合があります。

予防のためには、いすに腰かけた状態でもできる「座ったままストレッチ」を行いましょう。ふらつきなどがあり、立って行うストレッチが苦手な人も実践できます。もちろん、長時間座る機会などは特にないという人が行っても効果がありますし、軽い筋トレにもなり、継続することで無理なく下半身の筋肉量を増やせることも「座ったままストレッチ」の利点です。

就寝中のこむら返りを起こしやすい人には、入浴時に湯船の中でふくらはぎを温めながらよくマッサージをしてから、床につく前に「座ったままストレッチ」を行うのもおすすめです。

ふくらはぎと太もも裏

①いすなどに腰かけて、大きく息を吐きながら、片足を上げて止める。上げられるところまででOK
②ふくらはぎが伸びるのを感じながら、30回上げ下げする
③左右の足を入れ替えて、同様に①②を行う

すねと足首

いすなどに腰かけて、つま先を床につけて、かかとを30回上げ下げする

ふくらはぎと足首

いすなどに腰かけて、かかとを床につけて、つま先を30回上げ下げする

POINT
*上の3つのストレッチを毎日行うと効果的。時間がないときは、どれかひとつを行うだけでもよい

イラスト/宮重千穂

※この記事は『「足がよくつる」人のお助けBOOK』出沢 明著(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。


© 株式会社主婦の友社