「紅こうじ」問題で注目のサプリ…薬じゃない、食べ物なんだ 専門家が上手な付き合い方をアドバイス

イメージ写真

 小林製薬(大阪市)の「紅こうじ」を使った機能性表示食品のサプリメントを巡る健康被害問題を受けて、サプリメントをはじめとする健康食品が注目を集める。食品の安全性や機能性について研究する鹿児島大学医学部保健学科の古島大資准教授(41)にサプリメントとの適切な付き合い方を聞いた。

 -そもそも健康食品、サプリメントとは何か。

 「医薬品ではなく食べ物に分類される。健康食品は健康の増進を目的に販売する食品全般を指す。サプリメントはその一種で、ビタミンなど特定の成分を濃縮、抽出して錠剤などにしたもの。ただ、どちらも法的な定義はない」

 「国が基準を定めている保健機能食品もある。安全性や有効性を審査し商品ごとに許可を出す特定保健用食品(トクホ)、届け出は不要だが定められた表現で機能性などを明記できる栄養機能食品、事業者の責任で効能を表示できる届け出制の機能性表示食品だ」

 -サプリメントを選ぶ際に気をつけるべきことは。

 「あくまでも薬ではなく食品であることを忘れずに。『劇的な効果があった』『専門家が推奨』『天然・自然由来成分』といったうたい文句を安易に信用しない。成分に関する情報は公的機関のホームページなどから得ることが重要」

 「販売元が書かれているか、相談窓口が設置されているかも確認して。特に製造工程が不明な輸入品は注意が必要だ」

 -摂取時の注意点は。

 「体に良い成分も、取り過ぎると負担になる。用法用量を守って摂取する。一度に何種類も摂取しない。健康被害の可能性を高めるほか、被害の原因究明も難しくなる」

 「飲み合わせによっては医薬品の効果が弱まったり強くなりすぎたりする。薬を服用している場合、サプリメントを含む健康食品は、かかりつけ医や薬剤師に相談してから飲むようにしてほしい」

 -健康被害が疑われる場合、何をすべきか。

 「まずは直ちに飲むのを中止する。医療機関を受診し保健所へも相談を。サプリメントとの因果関係を明らかにするには、どの商品をいくつ飲み、いつから症状が現れたか、といった情報が必要になる。普段から摂取の記録を残すと良い」

 -効果的に飲む方法は。

 「栄養バランスの取れた食事、適度な運動、十分な休養が健康の基本。サプリメントは補助的に利用するのが望ましい」

 「貧血の時に鉄分を補給したり、妊娠中に葉酸やビタミンを取ったり、サプリメントが推奨されている場面もある。健康食品が全て危険というわけではない。科学的根拠に基づいた信用できる情報を得て、取捨選択することが大切だ」

 〈略歴〉ふるしま・だいすけ氏 熊本市出身。広島大医学部保健学科卒、大阪大大学院医学系研究科修了。静岡県立大薬学部講師を経て2022年度から現職。カテキンなど茶に含まれる成分の機能性や、健康食品による有害事象について研究している。

 【メモ】機能性表示食品制度は2015年に始まり、市場規模は年々拡大している。矢野経済研究所(東京)の調査によると、同食品(サプリメント形状)のメーカー出荷金額は22年度、健康食品全体の2割を超えた。23年度は2123億円で、20年度の1.3倍となる見込み。

サプリメントの注意点を解説する鹿児島大学の古島大資准教授=鹿児島市の同大桜ケ丘キャンパス

© 株式会社南日本新聞社