金沢タケノコを農家が料理 19日から野々市に限定店 内川の店消え地元で提供の場を

料理に使うタケノコを掘り出す前川さん=金沢市窪町

 金沢産のタケノコを多くの人に味わってほしいと、生産農家の前川竜ノ輔さん(34)=金沢市窪6丁目=が19日、自ら腕を振るう限定店を野々市で開く。県内最大の産地である金沢市内川地区に専門料理店がなくなったため、季節を感じられる地元の味覚を提供できる場を作ろうと、昨季から準備を進めてきた。タケノコづくしの定食を用意する前川さんは「新鮮な朝掘りのおいしさを知ってほしい」と意欲を見せている。

  ●朝堀りの味知って

 前川さんは、内川と並ぶ産地・富樫地区の窪町で先代から所有する山林を管理し、タケノコを生産、販売している。大学卒業後、祖父から仕事を引き継ぎ、JA金沢市の「ほがらか村 野田店」(金沢市野田町)など直売所で販売している。

 内川地区には最盛期にタケノコ料理の専門店が十数軒あったものの、高齢化などを理由に2021年春までに全て閉店。加賀野菜の一つ「金沢産タケノコ」の消費拡大を目指し、料理の提供に向けた準備を進めてきた。

  ●1日50食限定

 19日から、野々市市にぎわいの里ののいちカミーノの民間棟「1の1 NONOICHI」にあるシェアキッチンを使い、炊き込みご飯や天ぷら、煮物、酢みそ、みそ汁の定食を出す。1日50食ほどの限定で1800円。

 シェアキッチンは、市観光物産協会などが運営し、飲食関係の起業を目指す人が試験的に営業できる。今回、前川さんは独立が目的ではないが、金沢産タケノコの発信や普及を目的としており、全面協力する。

 出店は5月中旬までの予定で、4月は計7日間出店する見通し。前川さんは「農家の味付けの素朴な味わいを楽しんでほしい」と話している。

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