頻尿・尿漏れが気になる人は、温めるといい部位はココ

頻尿・尿漏れの人は、お腹の冷えは大敵!

体がほてるからと言って、体全体に扇風機などをあてて涼む人がいますが、顔は冷やしても、体を冷やすのはよくありません。冷えは、頻尿や尿漏れを悪化させる大きな要因になります。温めると効果のある体の部位はどこ? 日本泌尿器学会専門医の関口由紀さんに教えていただきましょう。

★洗い物をしていてトイレに行きたくなったことは?★

まずは、へそ下の丹田を温める

昔から、へそ下3㎝の位置にある「丹田(たんでん)」は気(エネルギー)の源として重視されてきました。武道家などが気合を入れるときに意識を集中し、力をこめる場所です。

丹田の内側には、膀胱や子宮など骨盤の中の臓器や、大動脈、腸などが集合しています。丹田を中心に温めることで、これらの臓器の血流がよくなり、自律神経のバランスも改善します。丹田の冷えが解消されると、膀胱の排尿筋の異常収縮が起きにくくなり、頻尿や尿漏れの改善につながります。

「もれそう!」と感じたら、背すじを伸ばして、おへその下3㎝くらいの位置にある丹田にそっと手をあてて、2〜3分温めてみて。不思議と尿意が消えていくのが感じられるでしょう。

手のひらを当てるだけではなく、軽く回転させてソフトにマッサージしてもよいでしょう。このとき、下腹部を圧迫すると尿が出そうになるので、力を入れず、軽くあてるようにするのがコツ。

トイレが近くていつも困っている人なら、前もって下腹部にカイロを貼って丹田を温めておき、急な尿意が起こらないように予防する方法も。カイロを貼るときは低温やけどに十分気をつけて、肌に直接貼るのはNGです。衣類の上から貼って、同じ場所に長時間貼らないようにしてください。

冷えやすい人は、「3つの首」を温かく

尿トラブルに悩む人は手足が冷たいことが多く、体を温めるだけで症状が改善することもあります。

冷えを予防するには、3つの首「首」「手首」「足首」を冷やさないことがポイント。3つの首は冷えやすいのですが、温めると全身の血行がよくなります。

首……ストールやマフラーで保温を。家にいるときはタオルを巻いてもOK。

手首……長袖の服や手袋を。ホットカイロで保温も

足首……長めの靴下やレッグウォーマーを。足湯で温めても。

夏でも、体が冷える機会は少なくありません。エアコンで冷やした室内や車内では、薄地のカーディガンやストール、ひざ掛けなどを使って、冷えから体を守りましょう。

冬は、温かい肌着や手首が隠れる袖丈のハイネックのセーターなどを重ね着して、体の熱を蓄えるようにしましょう。

足には、長めの毛糸の靴下やレッグウォーマー、首には、マフラーやストールを巻けば、3つの首をしっかり保温できます。

冷え込みが厳しい季節は、おなかや腰に肌着の上からホットカイロを貼るのもいいでしょう。

夜のトイレの回数を減らしたい

夜、何度もトイレに行きたくなって、朝までよく眠れなかった、という人は、どこを温めるといいのでしょう?

就寝時には、おなかを冷やさないように、おへそまで隠れる木綿素材のショーツがおすすめ。木綿がいいのは、通気性と吸湿性がよく、肌にやさしい自然素材だからです。おへその下に手をあててヒヤッとするほどおなかが冷えている人は、腹巻を使ってみてください。

急に体が冷えると、脳が反応して、尿道の締まりが悪くなり、膀胱の排尿筋に異常な反射が起きやすくなります。寝るときにおなかや下半身、足もとが冷えていると、夜のトイレも頻繁になってしまいます。

足が冷えて眠れない人は、電子レンジでチンするだけで温まる簡単な湯たんぽなどを利用してもよいでしょう。

※この記事は『「トイレが近い」人のお助けBOOK』関口由紀監修(主婦の友社)の内容をWeb掲載のため再編集しています。

※2023年5月25日に配信した記事を再編集しています。


監修者
女性医療クリニックLUNAグループ(横浜元町)理事長 関口由紀

横浜市立大学大学院医学部泌尿器病態学講座客員教授
インターネットサイト フェムゾーンラボ社長
日本フェムテック協会代表理事
日本泌尿器科学会認定専門医・指導医
日本東洋医学会認定専門医・指導医
日本性機能学会認定専門医
日本排尿機能学会認定専門医
医学博士
経営学修士(MBA)
日本メンズヘルス医学会テストステロン治療認定医

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