一瞬の光の情景描く 県立美術館で「シスレー」が報道公開 20日からコレクション展開幕

報道関係者に公開されたシスレーの油彩画=19日午後3時30分、宇都宮市桜4丁目

 栃木県立美術館の新たなコレクションとして県が購入したアルフレッド・シスレー(1839~99年)の油彩画「冬の夕日(サン=マメスのセーヌ河)」が19日、報道関係者に公開された。20日開幕のコレクション展Ⅰ「始まりの美術」(6月16日まで)で展示される。

 シスレーはフランス印象派のイギリス人。「冬の夕日」は、40歳を過ぎパリを離れたシスレーが田園の面影が残る周辺の夕暮れ時の光景を捉えた。水面(みなも)のきらめき、そこに映る木立の影など光の反射が美しく描かれている。

 同館学芸員の武関彩瑛(ぶせきさえ)さんは「シスレーは生涯印象派を貫いた。夕日の反射部分にオレンジや紫がそのまま点で打たれているところなど、この絵には絵の具を混ぜずに描く印象派の技法『筆触分割』がよく表れている」と解説した。

 同作品は県美術作品等取得基金を活用し、3億6千万円で購入。同館が所蔵するイギリス風景画の巨匠でシスレーが影響を受けたジョン・コンスタブル、ウィリアム・ターナー作品と並び、展示の相乗効果が期待されている。

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