2017年にノーベル生理学・医学賞を受賞した「時計遺伝子」の研究に基づいて、体内時計のリズムに応じてダイエットを成功に導くテクニックをご紹介します。夕食をとるタイミングについて、管理栄養士の望月理恵子先生に伺いました。仕事で夕食が遅くなってしまう日はぜひ参考にしてください。
★おやつを食べるベストタイイングは?★
※【体内時計】【体内のサブ時計】の乱れはダイエットの大敵!
私たちの体の中には体内時計があり、1日24時間の地球の動きに合わせて生体リズムを刻んでいます。
体内時計がずれると、生体リズムが乱れて、自律神経やホルモンが乱れます。食欲増進ホルモンが増え、食欲抑制ホルモンが低下するなどして肥満を招くのもその影響。体内時計のずれは、ダイエットの大敵といえます。
体内時計は、脳にメインの時計があるほか、内臓や筋肉、皮膚などにサブ時計がいくつもあります。
3時間遅れるだけで、太りやすくなる
「夕食なんて、何時に食べても同じでしょ」と思っていませんか。
いえいえ! 夕食が遅くなるだけで、同じメニューでも太りやすくなるのです。
同じ摂取カロリーでも、夕食をとる時刻が夜6時から夜9時へと3時間遅くなるだけで、1日の血糖変動が大きくなり、脂肪が蓄積されやすくなることが、最近の研究で明らかになっています。
でもなぜ、食べる時間が3時間遅くなるだけで、血糖値(血液中のブドウ糖の値)が上がりやすくなるのでしょうか。
夜遅くなると、すい臓はお休みモード
いろいろな理由がありますが、そのひとつは、夜遅くなればなるほど、血糖を調節するホルモン=インスリンを分泌しているすい臓がお休みモードになるからです。
インスリンは、血液中のブドウ糖を筋肉などの細胞に送り込む働きをしていますが、インスリンの量や働きがダウンすると、ブドウ糖が細胞にうまく取り込まれなくなり、エネルギーとして使われないため血液中に残り、高血糖になるのです。
このほか、夜遅くに夕食をとると、昼食から夕食までの空腹時間が長くなり、その間は低血糖の状態が長時間続きます。長い空腹のあと、急に夕食を食べると、反動で急激に血糖値が上がり、高血糖になってしまうのです。
夜中になるほど、脂肪をため込んでいく
さらに、脂肪ため込みにかかわるBMAL1というたんぱく質の量は、夜10時から深夜2時まで最大になるので、夕食が夜中に近くなるほど、脂肪をどんどんつくり出し、ため込んでしまいます。
もうひとつ、食事をしただけで消費されるエネルギー=食事誘発性熱産生は、夜間は昼間と比べて50%低下するため、夜遅く食べるほどエネルギーが消費されにくく、脂肪になりやすいといえます。
遅い時間に夕食をとると、翌朝まで高血糖状態が持続する、という悪いおまけまでついてしまいます。
これらのさまざまな理由で、夕食が夜遅くなるほど体内に脂肪がため込まれ、太りやすくなる、というわけです。結論。夕食は、夜6~7時ごろまでにすませるのが、やせ体質になるコツなのです。
夕食が遅くなるなら、2回に分けて食べて
仕事などの関係で、どうしても夜10時か11時まで夕食を食べられないというときは、どうしたらよいのでしょうか。
空腹をがまんして、帰宅してから深夜に夕食を食べるというのはダメです。ぐんぐん太りやすくなってしまいます。
おすすめしたい方法は、1回で食べる量の夕食を、2回に分けて食べること。
「今日は夕食が遅くなりそうだ」ということがわかったら、まず、夕方5時か6時ごろに、1回目の夕食としてサンドイッチやおにぎりなどの主食だけを先にとります。コンビニなどで購入してもよいでしょう。これで、空腹感は相当おさまるはずです。
空腹の状態を長くつくらない
空腹の時間が長くなると血糖値が下がり、次に食事をしたあとに血糖値が急に上がって太りやすくなってしまいます。ですから、夕方に何かおなかに入れておいて、空腹な状態をあまり長くつくらないのがカギです。
そして、帰宅してから、今日の夕食の2回目として、野菜中心のおかずを食べるようにすればよいのです。
夕食を2回に分けることで、1回の食事の量や糖質の量が減り、食後の血糖値が上昇しにくくなり、やせやすくなります。
ここで注意したいのは、夕食の時間を2回に分けたものの、1回に食べる食事の量が2割増しになり、ダブルで食べすぎてしまうこと。あくまでも、1回に食べる量の夕食を2回で分けるようにしてください。
ダイエットの最大の敵は、夜遅くとる主食!
ここで問題です。
夕食を2回に分けて、先におかず、あとから主食をとるのはどうでしょうか。
どちらが先でもよさそうなものですが、順番を逆にするのは絶対にNGです。
糖質の多い主食を夜遅くに食べるほど、血糖値が上がり、脂肪として蓄積されやすくなります。夜遅くにご飯物などの主食を食べないことが、ダイエット成功への近道なのです!
意志の強い方は、夕方5~6時に鶏肉のささみ、夜遅くには野菜中心のおかずを食べて、主食抜きにするとより効果的です。
2回とも天丼やカツ丼など、揚げ物やご飯多めのハイカロリーな夕食を食べてしまうと、肥満への道まっしぐらですから、ご注意ください。
※この記事は『やせる時間に食べてみた!』望月理恵子著(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。
※2023年4月18日に配信した記事を再編集しています。
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