日本洋画の世代交代検証 県立美術館で企画展開幕 シスレーの絵画も公開

企画展で展示されている高橋の「鮭図」=20日午後、宇都宮市桜4丁目

 明治期に活躍した2人の洋画家を中心に日本洋画界の世代交代を検証する企画展「高橋由一(たかはしゆいち)から黒田清輝(くろだせいき)へ-明治洋画壇の世代交代劇-」が20日、県立美術館で始まった。6月16日まで。

 フランスで洋画を学んだ黒田が帰国し新しい洋画を広めた翌年の1894(明治27)年、「近代洋画の父」と呼ばれる高橋が亡くなった。企画展ではこの時期に着目し、日本洋画界の世代交代を検証している。

 会場には、2人の絵画を中心に計70点の作品を展示。重厚な色合いで1尾のサケを描いた高橋の「鮭図」や、裸婦の絵を明るい雰囲気で描いた黒田の「花野」などが見どころという。

 20日の開会式には関係者42人が出席した。小野寺一行(おのでらかずゆき)館長(59)は「本県と縁のある2人。明治期に油絵や洋画という新たな絵画の制作を志した2人の画業をたどってほしい」とあいさつした。

 同日には、県が購入したアルフレッド・シスレー(1839~99年)の油彩画「冬の夕日(サン=マメスのセーヌ河)」が常設展示場で公開された。鑑賞した群馬県桐生市、元学芸員山田烈(やまだいさお)さん(75)は「風景の魅力をつかむのがうまい人。色合いがよく考えられていて素晴らしい」と語った。

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