開幕20試合で分かった…セ・リーグは首位・岡田阪神と3位・阿部巨人の「一騎打ち」

巨人の連敗は止まらなかった。

21日の広島戦に先発した今季2勝のサブマリン高橋礼が、この日も五回まで4安打無失点の好投。六回には女房役の小林の犠飛で1点を挙げた。

連敗ストップかと思われたが、この回の途中で雨天のため中断。六回が終了していないため、五回終了時の0-0で引き分けコールドゲームとなった。

巨人は6連勝の後の6連戦で、3つの引き分けを挟んで3連敗。開幕20試合を終え、9勝8敗3分けで3位と、勝ったり負けたりが続く。阿部慎之助監督(45)は「敵地の引き分けって勝ちに等しい。3勝3敗だと思って帰ろうかなと思います」と前を向いた。

■巨人・阿部監督は中継ぎの登板を緻密に計算

巨人OBで元投手コーチの高橋善正氏(評論家)がこう言う。

「20試合を消化した巨人のチーム防御率1.90(21日現在)は12球団トップ。駒がそろう先発陣を中心に、昨年は弱点といわれたリリーフ陣を立て直したことが大きい。19日に0-0で引き分けた広島との初戦で阿部監督らしさが出ていました」

0-0で迎えた延長十二回、阿部監督は登板9試合で無失点の絶対的セットアッパー・バルドナード、守護神の大勢の2人を使わず、接戦でのリリーフの経験がほとんどない横川をマウンドに送った。阿部監督は「バルちゃんは連投していたし、上げていた(最初から登板予定がなかった)。明日のことも考えて大勢を残しておきたかった」と説明。前出の高橋氏が続ける。

「阿部監督は基本的にリリーフ陣の3連投は禁止という方針を打ち出し、勝負は夏から秋という考え方。その試合の十回に西舘が登板していて、前日18日の阪神戦から2連投だった。つまり、20日は投げさせないことになる。バルドナードと大勢も18日に投げていて、連投をさせてしまうと、西舘と同じで20日は使えない。1日、2日先のことを考えた上で、目先の1勝より夏から秋の勝負どころも見据え、我慢を重ねている。ここが前の原政権と大きく変わったところ。生命線の投手陣に関して緻密に計算している感があります」

前日20日は今季初先発の井上が初回に4点を失ったものの、四回終了まで登板させた。戸郷や山崎伊、ベテランの菅野といった先発ローテ陣も、「責任を持たせる」という指揮官の方針により、引っ張るケースが目立つ。

「先発投手を見限るのが早かった原前監督なら、20日の試合は初回に投手交代となっていたかもしれない。18日の阪神戦で先発の菅野を八回まで引っ張ったことで同点に追い付かれ、結局サヨナラ負けを喫した試合などを見て、交代が遅いという指摘もある。ただ、これは捕手出身の阿部監督の投手マネジメント。リリーフ陣が夏枯れせずに成果が表れるのは、勝負どころの秋です」(高橋氏)

阪神は脂の乗った選手が多く他球団警戒

一方、この日の阪神は首位・中日を相手に、今季初の同一カード3連勝。0-0で迎えた六回に佐藤輝が3ランを放ち先制すると、先発・才木が七回まで無失点の好投で2勝目を挙げた。七回表コールドとなった雨中の試合を制し、引き分けを挟んで6連勝。今季初めて首位に立った。

中日、巨人などでバッテリーコーチを歴任した評論家の秦真司氏がこう言う。

「2月の沖縄キャンプで、阪神の岡田彰布監督(66)を取材させてもらった時、『やりたい野球ができるようになってきた』とかなり手応えを感じている様子でした。昨季2位の広島・新井貴浩監督(47)にも話を聞きましたが、『阪神がダントツ優勝候補。投打で脂が乗り切った選手が多い。層も厚い』とベタ褒めでした。開幕直後こそつまずいたものの、昨年同様、チーム防御率2.06は12球団中2位と投手陣が盤石。巨人とは違い、捕手とレフト以外のスタメンはほぼ不動という強さもある。昨年、阪神打線で話題になった四球数も、20日の中日戦で7つも奪い取った。犠打で手堅く走者を進める一方で、走れる選手も多く、他チームと比べて攻撃のバリエーションが多い。岡田野球が浸透した証拠で、今年も手ごわい印象です」

岡田監督は首位奪取に「まだまだ20試合、21試合。去年は(15の貯金を稼いだ)5月に貯金3つで行ったのを、その3つを4月ですか、今年もまだそらねえ、早く出たかなという、そういう感じ」と、うれしそうだった。

■陥落した中日は防御率が悪化

甲子園で阪神に3タテを食らい、首位から陥落した中日はどうか。前出の秦氏が続ける。

「20日の試合は走塁や失策などミスのオンパレード。投手陣が頑張っていたが、今の防御率3.18という数字は決して良くはない。立浪和義監督(54)は実は『投手がいいといっても、(昨季は)ビジターでは良くないんです』と心配していた。中田が加入したとはいえ、まだまだ打線が弱く、好調は長続きしないかもしれません」

3位巨人は開幕20試合、阪神は21試合目。ゲーム差は1だが、一騎打ちの様相を呈してきた。

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