ファンの野次で無実の退場処分にSNS大盛り上がり!一大エンターテイメントと化したブーン監督の“退場芸”<SLUGGER>

ヤンキースのアーロン・ブーン監督といえば、球界きっての“瞬間湯沸かし器”として悪名(?)を馳せる熱血漢。そんなブーン監督の今季2度目の退場が大きな話題を集めている。

4月22日(現地)のアスレティックス戦の1回表、先頭のエステウリー・ルイーズへの死球判定をめぐり、ブーン監督はさっそく抗議。すると、球審のハンター・ウェンデルステットは「これ以上何か言ったら退場にするぞ!」とブーン監督に警告した。

不満げな表情でガムを噛むブーン監督だったが、その直後、「退場!」とのコールが球場中に響き渡った。ブーン監督は「何が起こったのか?」と言わんばかりに両手を広げて呆然。実は、一塁側ダグアウト横の最前列に座っていたファンが野次を飛ばしたのを、ウェンデルステット球審がブーン監督と勘違いしたのだ。

あわてて潔白を訴えようとベンチを飛び出したブーン監督だったが、ウェンデルステット球審は「誰が言ったかはどうでもいい。あんたは退場だ!」と開き直る始末で、まったく耳を貸してもらえなかった。

この事件にSNSはお祭り騒ぎとなった。「Aaron Boone」のワードはX(旧ツイッター)のトレンド入り。各メディアはさまざまなカメラアングルからどこかコミカルな一部始終の映像を公開し、野次を飛ばした“犯人”の特定も含め、まさに“大バズり”状態となっている。 今回の件はどう見てもとばっちりだったブーン監督だが、これまでの行状が招いた「身から出た錆」と言えなくもない。

審判に執拗にまとわりつくブーン監督の抗議姿勢は、地元紙のコラムニストに「不機嫌な子供のよう」と批判されたこともあるほど。昨年8月には見逃し三振の判定に猛抗議し、球審の「決めポーズ」を真似る姿がSNSで話題を呼んだこともあった。審判団からすれば、ブラックリスト入りしている“要注意人物”なわけで、少しでも疑わしい行為=即退場となったのだのだろう。

ここまで来ると、ブーン監督の退場は一つのエンターテイメントに昇華した感すらある。通算893試合で35回の退場は、MLB歴代最多記録(162)を持つ元ブレーブスのボビー・コックスをも上回るペース。新記録達成へ向け、今後も退場エピソードを重ねていってほしい。

構成●SLUGGER編集部

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