ピレリ「P Zero R」「P Zero トロフェオ RS」、ポルシェ「タイカン」の承認タイヤに

by 編集部:小林 隆

2024年4月10日(現地時間) 発表

「P Zero R」「P Zero トロフェオ RS」がポルシェ「タイカン」の承認タイヤに

ピレリは4月10日(現地時間)、「P Zero R」「P Zero トロフェオ RS」がポルシェの新型BEV(バッテリ電気自動車)「タイカン」の承認タイヤに選ばれたと発表した。いずれのタイヤも最もスポーティなバージョンである「タイカン ターボ GT」でのみ選択可能で、サイズはどちらも265/35ZR21と305/30ZR21。

P Zero Rはスーパーカーの日常走行向けに設計、P Zero トロフェオ RSは公道走行可能なセミスリックタイヤで、ともに2024年初めに発売。今回、ポルシェと協力して車両のスポーツ性と効率性を高めるために特別にチューニングを行なったといい、どちらのタイヤもBEVの特性に適した技術ソリューションの搭載を示すため、サイドウォールに「Elect マーク」が刻印された。

Elect テクノロジーは2019年に初代タイカンでデビューし、それ以降、他のモデルにも拡大。現在、ポルシェのラインアップには「マカン」などさまざまなモデルでポルシェの電動化に対応するように設計されたElect テクノロジーを備えた30以上のピレリ技術承認タイヤが純正装着されているという。

左が「P Zero トロフェオ RS」、右が「P Zero R」

P Zero Rでは2枚に重ねたカーカスにより、タイヤ構造の剛性が高く、空力による荷重とバッテリの存在によって特にリアにかかる重量を支えることを可能にした。また、電気モーター特有の急加速に対処するため、強化構造に加えてピレリの特許取得済みの樹脂ブレンド技術によって可能にしたマルチコンパウンドトレッドも採用。コンパウンド内の素材が相乗効果を生み出し、幅広い温度や路面でグリップ力を発揮して濡れた路面でも高いパフォーマンスを提供するという。トレッドパターンは騒音を最小限に抑えるように設計されており、転がり抵抗を低減するコンパウンドとトレッドパターンの組み合わせによってポルシェが要求する効率性を実現した。

一方、サーキット向けでありながらも安全に公道走行ができるというP Zero トロフェオ RSは、ピレリが新型タイカンに供給した最もスポーティなバージョン。ピレリのストリートタイヤシリーズの中でもトップの高性能タイヤに位置付けられ、ラリー用タイヤから派生した特別に設計されたコンパウンドで作られたセミスリックタイヤとなる。開発に際しては、ポルシェのドライビング ダイナミクス エンジニアと開発ドライバーを務めるラース・カーン氏とともにニュルブルクリンクで行なったという。

P Zero トロフェオ RSでは専用コンパウンドを用いることでグリップと安定性を提供し、トレッドの外側ショルダーに強力な横Gがかかる状況でもサポートを提供できるよう溝の数を少なくした。パターンは接地面全体に沿って迅速かつ均一に熱が伝わるように設計されており、これによって最も要求の厳しいサーキット走行でもタイヤウォーマーを必要としないという。

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