「日本には不足していた」韓国人記者が指摘した“日韓の違い”。大岩ジャパンの弱点とは?「簡単にやられてしまっては...」【U-23アジア杯】

大岩剛監督が率いるU-23日本代表は4月22日、U-23アジアカップのグループステージ最終節で、私の母国である韓国の対戦し、0ー1で敗れている。

この一戦で、両チームとも先発メンバーを大きく変えた。日本のターンオーバーは目新しくはないが、韓国のローテーションには驚きだった。準々決勝にすでに進出しているとはいえ、韓日戦に負けたら激しく批判されるのが常だからだ。

メディアや世論からのプレッシャーを気にしなかった、ファン・ソンホン監督の英断に拍手を送りたい。5月に決定予定となっている韓国A代表監督の候補者の一人として、今大会で彼は必ず内容と結果を残さなければならない。にもかかわらず、韓日戦でこのような選択をするのは勇気がいったはずだ。

日本の攻撃に対して、韓国は5バックを選んだ。ファン・ソンホン監督は過去にも、スカッドに問題が発生した場合や相手の攻撃力が上だと判断した場合に、5バックを使った経験がある。

キックオフから日本はこの戦術に対応できず、適応するまで時間がかかった。20番の平河悠がボールを持ちながらプレーメーキング能力を発揮した左サイドを中心にチャンスを作ったが、日本のスタメン組はワイドスペースとハーフスペースで効果的な動きや連係を見せられなかった。

試合はようやく動いたのは韓国が先制した75分だった。日本はCKの守備時もゾーンマークをするが、この守備陣は長いクロスに弱点がある。韓国の先制点もそこを突いた。大岩監督はセットプレーにどう対応するかをもう一度チェックしなければならないだろう。こんなに簡単にやられてしまっては、今後にも不安を残す。

先制してからは、日本が押し込んで韓国は必死に守る展開だった。状況的にも当然そうなるし、選手交代でレギュラー組が入ってから、日本がファイナルサードでのチャンスを作る動きが良くなったのもある。

右サイドの9番(藤尾翔太)が突破からよくチャンスを作ったが、ボックス内でのフィニッシュの精度が不足していた。10番の佐藤(恵允)は相変わらずシュートの精度が悪く、チームメイトの努力を無駄にした。突破力とシュート技術の能力差がこれほどかけ離れている選手も珍しい。

【動画】日本選手が激昂した韓国MFの危険なタックル
最後の最後は、やはり韓国が本能的なメンタリティと献身性を出したと思う。疲労が増しているはずの時間帯だったのに、韓国の選手はよりアクティブなって五分五分の競り合いも強くなった。日本に不足していたのは、そうしたレジリエンスではないだろうか。

もっとも、両チームともベスト8進出が確定していたし、スタメンを大きく入れ替えて挑んだ試合だった。この試合の結果が両国の実力を表わしているとは言えないし、大きな意味を置くのも難しい。だが、韓国に負けた日本は準々決勝で開催国のカタールと対戦することになってしまった。

グループステージを見ると、カタールは判定でホームアドバンテージを得ているように思う。日本も気を付けなくてはいけない。2点差以上をつけておかないと、終盤の判定で結果が左右するかもしれない。

それがカタールを避けたい最大の理由なのは、みんなよくわかっているはずだ。

文●ホン・ジェミン(フリーランス)

【著者プロフィール】
英サッカー専門誌『Four Four Two』韓国版の編集長など経てフリーに。2024年のアジアカップでは日本戦も全試合取材。韓国代表ファン・ヒチャンの自宅で独占インタビューを行なうなど選手の信頼も得ている。

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