知ってる?「早めのトレイ」は実は逆効果。頻尿・尿漏れを改善する簡単トレーニング

「旅行に行きたいけど、トイレが心配で……」そんなトイレの不安を解消しておきたいですね。頻尿や尿漏れを根本から改善する方法を紹介しましょう。膀胱を甘やかさないで、強い膀胱にしていく「膀胱トレーニング」のやり方を、日本泌尿器学会専門医の関口由紀さんに教えていただきます。

★頻尿の時に温めたいのは?★

早めにトイレに行くことが、かえって悪循環に

トイレが近い人は、早め早めにトイレに行く傾向があります。たとえばバス旅行で、トイレ休憩でバスが停まるたびに、尿意はなくてもとりあえずトイレに行っておこうというように。

けれども、膀胱に少ししか尿がたまっていないタイミングで排尿を繰り返していると、膀胱がより過敏に反応するようになります。膀胱が伸び縮みしにくくなり、膀胱に尿がためられなくなってしまいます。その結果、頻尿がますますひどくなってしまうのです。

そこでおすすめしたいのが「膀胱トレーニング」。膀胱トレーニングを続ければ、トイレタイムまでの時間を延長していくことができます。

トイレに行きたくなったら、膀胱トレーニング

やり方は簡単です。「トイレに行きたい」と思ったら、まずは、ちつと肛門をキュッと締めて5分間がまんします。トイレに直行するのはぐっとがまんです。その場にしゃがんだり、脚を組んだりして、尿意を抑える努力をしてもかまいません。

ちつと肛門をキュッと締めると、「会陰排尿筋抑制反射」という反応が起こり、膀胱の異常収縮をストップするので、強い尿意を抑えることができるのです。

腕を組んだり足を組んだりしても OK。

・がまんしている間は、トイレ以外のことを考えましょう。

・お気に入りのアイドルのことを考えても、世界平和や温暖化について思いを巡らしてもOKです。

5分たったところで尿意が消えていたら成功です。1週間〜1カ月毎にもう少し粘って7分、10分と延長していきます。

1日数回、このトレーニングを繰り返していると、膀胱に少量の尿がたまったくらいでは異常反射が起きにくくなり、膀胱の伸縮力も復活。膀胱に尿をためられるようになっていきますよ。
次のトイレまで、2〜3時間あけられるようになれば大成功! そうすると、映画館で映画を1本、トイレを気にせずに観られるようになります。

このトレーニングは、自宅など、すぐにトイレに行ける場所で行うと安心です。どうしてもがまんできないときには駆け込めるという、安心感があるからです。

「トイレをがまんしたら膀胱炎になる」は間違い

「トイレをがまんすると膀胱炎になるからよくないのでは?」と心配する人もいるかもしれませんね。実際はどうなんでしょう?

膀胱炎は、尿道や膀胱に細菌が侵入し、感染するために起こる病気です。トイレをがまんするだけで細菌感染することはありません。

ただし、すでに膀胱炎を起こしている場合は別です。尿をどんどん出して細菌を押し流し、追い出す必要があるため、トイレをがまんしてはいけません。膀胱炎の症状がある間は水分を十分にとり、尿意が起きたときにトイレに行きましょう。

※この記事は『「トイレが近い」人のお助けBOOK』関口由紀監修(主婦の友社)の内容をWeb掲載のため再編集しています。
※2022年12月26日に配信した記事を再編集しています。


監修者
女性医療クリニックLUNAグループ(横浜元町)理事長 関口由紀

横浜市立大学大学院医学部泌尿器病態学講座客員教授
インターネットサイト フェムゾーンラボ社長
日本フェムテック協会代表理事
日本泌尿器科学会認定専門医・指導医
日本東洋医学会認定専門医・指導医
日本性機能学会認定専門医
日本排尿機能学会認定専門医
医学博士
経営学修士(MBA)
日本メンズヘルス医学会テストステロン治療認定医

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