日本は弱点露呈も、エースのゴールでカタール撃破。劣勢から巻き返せた一因は両サイドバックの奮闘にあった【U-23アジア杯/コラム】

2024年4月26日(現地時間)、U-23アジアカップ(パリ五輪アジア最終予選を兼ねる)の準々決勝でカタールと戦う大岩ジャパンは、開始2分、いきなり山田楓喜(東京ヴェルディ)のゴールで先制した。

やはり山田の左足は本物。キックの精度はピカイチで、こうした重要な試合で貴重な先制弾を決めるあたりはさすがだ。今大会の活躍をきっかけにして6月にA代表招集と、そんな絵も描けるかもしれない。

先制後しばらく比較的良い流れで試合を進めていた大岩ジャパンだが、25分に被弾。カタールのラウィに強烈なヘッドを叩き込まれて1-1と追いつかれた。カタールの個人能力の高さを見せつけられたシーンでもあり、止めるのは至難の業。素直に相手を褒めるべきだろう。

1-1になって以降はカタールのペースに。韓国戦と同じように、日本は最終ラインからの組み立てが稚拙でなかなかスムーズに攻撃を展開できなかった。そんな中で38分に迎えた決定機、松木玖生(FC東京)のクロスに合わせた細谷真大(柏レイソル)のシュートはゴールにならず。エースなら、絶対に決めないといけないシーンだった。

相手GKの退場(41分)で数的優位を得た日本も、50分にセットプレーからカタールのジャービルに逆転弾を許す。1失点目と同じような形でカタールの高さと上手さにやられた印象で、放り込みに弱い日本を象徴する場面でもあった。

弱点を露呈して嫌な流れに呑み込まれそうになった日本を救ったのは、CBの木村誠二(サガン鳥栖)。67分にコーナーキックから得意のヘッドで同点ゴールを決めたのだ。そして101分、不振に喘いでいたエースがついに大仕事をやってのける。エリア内で荒木遼太郎(FC東京)のスルーパスに反応した細谷が、GKの股を抜くシュートで勝ち越し弾を蹴り込んだのである。その後、内野航太郎(筑波大)のゴールで加点した日本は結局、4-2で勝利を収めた。

劣勢の状態から巻き返せた一因が、両サイドバックの奮闘にあった。右の関根大輝(柏レイソル)と左の大畑歩夢(浦和レッズ)が上下動を繰り返し、攻撃に厚みを加えたおかげでカタールの選手の体力を削っていった。とりわけ、最後まで走り抜いた関根のタフネスは称賛に値。地味ながらも彼らの働きには大きな拍手をおくりたい。

開催国カタールを破っての準決勝進出は痛快。完全アウェーの地で掴んだ白星が選手たちに大きな自信をもたらすはずだ。ただし、本番はこれから。まだ何も勝ち獲ってないことを肝に銘じないといけない。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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