頻尿や尿漏れと天気の関係とは?「トイレに行きたい」が消える誰でもできる方法

気温や気圧など天候の変化は、体調に影響を及ぼすことがあります。低気圧が近づくと頭痛が起こりやすい、という人は少なくありません。じつは、頻尿や尿漏れについても同じことがいえるようです。日本泌尿器学会専門医の関口由紀さんに、尿トラブルとお天気との関係について伺いました。

★簡単な頻尿改善トレーニング★

お出かけ前に気象図をチェック

雨が続くとき、急に朝晩冷え込むようになったときなどに、頻尿や尿漏れが起こりやすいと思ったことはありませんか?

とくに更年期以降の女性は、天気の変化によって体調に影響を受けやすくなります。気圧が低いときは頭痛がする、といった人も多いですね。

閉経後の女性ホルモンの変動により、更年期後の女性には、周期的な体調の変化や心身の不調が起こりにくくなります。そのかわりに、天候の変化によって体調に影響を受けやすくなるといわれています。頻尿や尿漏れも、お天気に影響を受けやすいのです。

冷え込んできたときは、体を温め、食事に気をつけて体調を整えると、頻尿も改善します。

外出の予定があるときは、前日に気象図をチェックしましょう。気圧の谷、前線が近づいていないか、天気予報に注意してください。雨模様ではないか、寒暖差がありそうか、などを確認します。

天候不順が予想されるときは、トイレが近くなったり、尿漏れがあるかもしれないと想定を。外出を予定しているなら、トイレの場所を確認したり、スケジュールとトイレのタイミングをシミュレーションしておくなど、準備をしておけば心強いですね。

冷え込みそうなら、温かい肌着やホットカイロ、温かい食べ物などで保温を心がけましょう。夏でも冷房のきいた環境に長時間いる予定なら、ひざ掛けやストールがあるとよいでしょう。そして、吸水パッドを用意するのも安心材料になります。

吸水パッドは進化している

頻尿の人は、外出先でトイレが見つからなかったら……、と不安になりますよね。そんなときは、外出時に「もしものときのおまもり」として、吸水パッドをショーツに装着していくとよいでしょう。バッグに1枚しのばせておくだけでも安心です。

最近は各メーカーが力を入れ、吸水パッドのバリエーションが豊かになり買いやすくなっています。給水量によって、幅広いラインナップがそろっています。

ここで注意したいのが、吸水パッドを生理用ナプキンで代用するのはダメということ。なぜかというと、血液と尿では成分がまったく異なるからです。

生理用品は、血液を吸収するためのもの。水分の吸収・保湿力が弱いため、尿ケアに使うと、ナプキンの表面に水分が残り、肌がべたべたして不快になります。尿の成分で肌がかぶれたりにおいがもれたりすることも。

その点、吸水パッドは、赤ちゃんのおむつに使われる高分子ポリマーで、尿を瞬時にしっかりキャッチするため、肌はさらさら。体圧がかかっても、じわっとにじみ出す心配もありません。においを気にすることもありません。

最近の吸水パッドは優れています。高分子ポリマーの網目で、水分とアンモニアガスが、あっという間に閉じ込められます。尿もれが気になる場合は、専用の吸水パッドを使いましょう。

「トイレに行きたい」がパッと消える方法

外出先で、トイレに行きたくても行けない状況になったら…、本当に困りますね。「トイレに間に合わないかも」「もれそう……」そうした切迫した状況を、パッと切り替えられる方法があります。尿意と脳の関係から考えられた、だれにでもできる方法で、周りの人に気づかれることもありません。

それは、トイレ以外のことを思い浮かべること。「もれたらどうしよう」と思うのをやめて、ほかのことを考えるのです。

その場をパッと離れ、楽しいことを考えましょう。かわいいペットやお気に入りの韓流スターのことを思い浮かべるのも効果的。妄想でよいのです。

眠れないときに、眠れないことを思い悩むのではなく、「羊が1匹、羊が2匹……」と呪文をとなえるのと同じ。ピンチのときは、ほかのことに注意を向けて気持ちをそらすと、尿意が去ってくれます。

膀胱の反応は、脳や脊髄、神経が関係しているので、ほかのことに意識を集中して気持ちをそらすことが効果的というわけです。

同時に骨盤底をキュッと締めると、信号が脊髄に伝わり、「会陰排尿筋抑制反射」という反応が起こります。その結果、排尿モードになっていた膀胱の筋肉がリラックスしてゆるみ、排尿モードから解放されます。

※この記事は『「トイレが近い」人のお助けBOOK』関口由紀監修(主婦の友社)の内容をWeb掲載のため再編集しています。

※2023年8月22日に配信した記事を再編集しています。


監修者
女性医療クリニックLUNAグループ(横浜元町)理事長 関口由紀

横浜市立大学大学院医学部泌尿器病態学講座客員教授
インターネットサイト フェムゾーンラボ社長
日本フェムテック協会代表理事
日本泌尿器科学会認定専門医・指導医
日本東洋医学会認定専門医・指導医
日本性機能学会認定専門医
日本排尿機能学会認定専門医
医学博士
経営学修士(MBA)
日本メンズヘルス医学会テストステロン治療認定医

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