細谷真大のゴールはただの1点ではない。エースの復活弾がチームの起爆剤となるか【U-23アジア杯】

U-23日本代表は現地4月25日、カタール・ドーハで開催されているU-23アジアカップの準々決勝でU-23カタール代表と対戦し、延長戦の末に4-2で勝利。この試合でなによりの収穫は、エースストライカー細谷真大に得点が生まれたことだろう。

2-2で迎えた延長前半の101分に決勝弾。藤田譲瑠チマからの縦パスをペナルティエリア手前中央で収めた荒木遼太郎が、反転してスルーパスを供給すると、これにペナルティエリア右で反応した細谷が、完璧なトラップから右足でGKの股を抜いてネットを揺らした。

細谷は柏レイソルで今季、7試合に出場してノーゴール。自クラブでも苦しむなか、今大会に臨んだ。

思い出されるのは、16日に行なわれた初戦・中国戦(1-0)の3日前のコメント。「もちろん得点が取れていないのは事実。あとちょっとのところまでがきているという感覚はある」と語ったが、グループステージ3試合でも得点はなし。毎試合の後、ミックスゾーンを通る細谷の表情はどこか暗かった。

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そんななか、ついに準々決勝のカタール戦でゴール。得点の直後、周囲の選手も感情を爆発させて細谷を祝福した。

苦しむ姿を間近で見ていた松木玖生も「すごく個人的にも嬉しい。やっぱりエースが点を決めてくれると自分たちもものすごく助かりますし、ここからさらに乗ってくるんじゃないかなと思う」と喜びを露わに。この試合後の細谷の表情は、今までと打って変わって、どこか吹っ切れたような柔らかい表情だった。

このゴールはただの1点ではない。これまで、パリ五輪世代の代表を引っ張ってきたストライカーの復活弾は、チームにとって起爆剤となりえるとてつもなく大きい一撃だ。細谷はこの勢いに乗り、続く準決勝でも2戦連発なるか。

細谷の活躍は“あの試合がきっかけだった”と言える未来が見たい。

取材・文●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

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