寝る前に温めるといい部位はどこ?眠れる体づくりのための血流アップ術 小林弘幸先生が指南

「長い時間眠れない」「早く目が覚めてしまう」など、睡眠の悩みを抱えていませんか。短時間でもぐっすり眠れて、翌日すっきり起きられる快眠テクニックを、自律神経研究の第一人者 小林弘幸先生に4回に分けて教えていただきます。第2回は、眠れる体づくりのための、6つの血流アップ術です。

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ガムをかむと自律神経のバランスが改善し血流アップ

ガムをリズムよくかむだけで、副交感神経の働きがアップして血流が改善します。

睡眠ホルモン・メラトニンの材料となるセロトニンも分泌されるため、一日の終わりにガムをかむと、体がリラックスして睡眠スイッチが入りやすくなります。ほかにも脳を刺激して活性化させたり、マスク生活で衰えた表情筋を鍛えたりする効果も。

<ガムの効果>
副交感神経が優位になる
免疫力アップ
脳の血流量のアップ
かむ力の向上
表情筋を鍛える

好きな香りをかぐと、末梢の血流がよくなる

副交感神経の働きを高めるには、嗅覚や視覚など、五感の癒やしが有効。特に嗅覚は、脳の中枢神経に直結しているため、より速く、強く働きかけます。

好きな香りをかぐと、末梢の血流がよくなり、副交感神経の働きが高まることが証明されています。その日の気分で自分が心地いいと感じる入浴剤やアロマオイルを選び、香りの力をうまく活用しましょう。

<安眠におすすめの香り>
ラベンダー
スイートオレンジ
グレープフルーツ
ティートゥリー
杉・ひのき

サウナは「血管の筋トレ」。朝か夕方がおすすめ

サウナと水風呂に交互に入ると、自律神経が刺激され、「血管の筋トレ」といえるほど、パワフルに血流が促進されます。

また、サウナは高温で深部体温を大きく引き上げますが、深部体温は一回上がると下がりやすくなるため、結果、睡眠の質を高められます。ただし、夕食後や就寝前に入ると、交感神経の働きを過剰にしてしまうため、熟睡には逆効果です。

寝る前に目を温めて、目の筋肉をゆるめる

目は日中、パソコンやスマホなどの使用で酷使されています。眼精疲労がたまり、目の周りの筋肉が緊張した状態が続くと、交感神経が優位になって自律神経のバランスが崩れ、寝つきが悪くなる原因に。

寝る前にホットタオルなどで目を温めて、筋肉をゆるめて血流をよくしましょう。副交感神経が優位になり、体がリラックスして眠りやすくなります。

緊張を緩和し、心と体の疲れを癒やす「タッピング」

人の手によるマッサージには、血流量を増やし、副交感神経を優位にして心身ともにリラックスさせる効果があります。手軽に心の疲れやストレスを効果的に和らげてくれるのが「タッピング」。顔や首のこり、眼精疲労などがラクになり、体と心の緊張もほぐれてストレスも緩和されます。

たたく力加減は、指の腹が軽く肌に触れる程度でOK。強くたたき過ぎると交感神経が優位になってしまうため注意しましょう。

<やり方>
①3本の指で優しくたたく
いすに座って、背筋を伸ばして胸を張る。人さし指、中指、薬指で側頭部からおでこへ向かって軽くソフトにたたく。

②顔全体をタッピング
眉間、眉の下、目の周り、鼻の下、あごの順に合計30秒をメドにタッピングする。たたく場所はあまり厳密に考えず、自分が気持ちいいと感じる場所をタッピングして。

「眠りが浅い」と感じているなら、就寝前に「ぐっすりストレッチ」

寝る前に5分、「ぐっすりストレッチ」をするだけで、睡眠の質はもちろん、翌日のパフォーマンスや、免疫力も高まります。

「睡眠時間が足りない」「眠りが浅い」と感じている人こそ、ぜひ取り入れて。より深く、ぐっすり眠れる体に変わっていきます。

深くゆったりとした呼吸で、1つ1つの動きを指先の毛細血管まで、血流がサラサラとめぐっていく様子をイメージしながら行うのがポイントです。

<ぐっすりストレッチのポイント>
①血液が流れる様子をイメージする
②常にゆったりとした呼吸を心がける
③すべての動きは体幹から始動させる
④末端を固定(ロック)する

<両ひざを倒す体操>
①あお向けになり、ひざを曲げる
②息を吐きながらひざを左右にゆっくり2回ずつ倒す

肩から背中全体がしっかり床につくように。足は股関節から動かす。

※この記事は「健康」2024年春号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。

監修者
順天堂大学医学部教授 小林弘幸

日本スポーツ協会公認スポーツドクター。 1987年、順天堂大学医学部卒業。92年、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、 アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任。『自律神経の名医が考案した ぜったい幸せになる話し方・伝え方』(主婦の友社)など著書が多数ある自律神経研究の第一人者。


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