梅毒、県内最多142人 23年感染者 日本人間で流行か 拡大防止へ早期検査を

 性感染症の一つ「梅毒」の患者が愛媛県内で急増している。2023年の感染者の届け出数は142人で、1999年の調査開始以降最多に上った。県衛生環境研究所によるとかつては訪日客から感染する例が多かったと考えられたが、近年は自覚がないまま日本人同士で流行しているとみられる。24年も3月19日時点で23人と拡大を続けており、研究所は「拡大防止には早めの検査や治療、適切な予防が重要」と呼びかける。

 24年のペースについて研究所は「過去5年で男性は2番目、女性は最も速い」と説明。県や松山市は早期発見、治療につなげようと、各保健所で無料匿名の検査を実施している。

 梅毒は細菌の一種「梅毒トレポネーマ」によって引き起こされる。主な感染ルートはキスや性行為など、口や性器などの粘膜を通じた性的接触。早期症状では痛みがない場合もあるが、発疹などを放置したまま治療しないと心臓や脳などへ障害が生じる他、死に至るケースも。治療すれば完治できるが、別の接触で再び感染する可能性がある。

 全国でも1万4906人(23年、速報値)と流行。県内では15年まで0~8人と少数だったが、16年から急増。20年に一度減少し、21年から再び増加して22年は120人に。23年の感染者を年代別でみると、男性は40代(37人)が最多、30代(25人)、50代(16人)と続く。女性は20~40代が7割を占めた。また、県内ではまだ例がないが、全国では近年、母子感染による先天梅毒も年間20例ほど確認されている。

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