本県国会議員の政治資金パーティー「利益率」81% 売り上げ9割購入者不明

栃木県国会議員のパーティー収入などが記載された政治資金収支報告書。パーティー券購入者の公開率はわずか11%と透明性は低い

 栃木県国会議員が2022年に開いた政治資金パーティーは計9回で、パーティー券の売り上げから開催費を差し引いて算出した「利益率」の平均は81%だったことが29日、下野新聞社の調査で分かった。パーティー券の購入者が政治資金収支報告書に記載されている公開率(金額ベース)は11%にとどまり、残り89%は購入者が不明。高い利益率は「事実上の献金」との指摘があるとともに透明性も極めて低く、パーティーの在り方が問われている。

 総務省と栃木県選挙管理委員会が公表した収支報告書から算出した。本県関係国会議員10人のうち6人がパーティーを開催。自民党の上野通子(うえのみちこ)氏は会場費が記載されていないため、上野氏を除いて利益率を算出した。

 政治資金規正法はパーティーについて「政治団体が対価を徴収して行われる催し」と定め、利益を政治活動に充てることを認めている。一方、大半の利益率は高く、その「対価性」は疑問視されてきた。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、国会では同法改正に向けた議論が始まっている。

 利益率が最も高かったのは茂木敏充(もてぎとしみつ)氏(自民)の88.9%。4回開催したパーティー収入は計1億1010万円、開催費1221万円を差し引いた利益は9789万円。佐藤勉(さとうつとむ)氏(同)は1回開催し、収入1820万円、開催費317万円で利益は1503万円となり82.5%。

 簗和生(やなかずお)氏(同)は1回開催し、298万円の収入に対し開催費は54万円で81.8%。船田元(ふなだはじめ)氏(同)も1回開き、1021万円の収入、開催費は197万円で80.7%だった。

 茂木、佐藤、簗の3氏は「政治資金規正法にのっとり開催し、収支も適切に対応している」と説明。船田氏は「売上額が読めず、利益率をコントロールするのは難しいが、低く抑える努力は必要」とする。

 立憲民主党の藤岡隆雄(ふじおかたかお)氏は1回開き収入は224万円、開催費63万円で71.8%だった。

 パーティー券は企業・団体でも購入することが可能で、禁止されている議員個人への企業・団体献金の「抜け道」という見方もある。またパーティー券は、1回の購入が20万円以下なら報告書に購入者や金額の記載は求められず、年間5万円超が記載対象の献金と比べ透明性は低い。

 報告書への購入者公開率は茂木氏7%、船田氏9%、佐藤氏38%。簗、上野、藤岡の3氏の記載はゼロだった。

 日本大の安野修右(やすののぶすけ)専任講師(選挙制度)は「8割を超える利益率は事実上の献金だ。パーティーの在り方を見直し、券購入者、購入額、出席者数を全て記載するなどして透明性を担保すべきだ」としている。

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