県内空き家数が最多更新、16万4000戸に 空き家率は16.9%、解体や利活用急務

 2023年10月1日時点の栃木県の空き家数は16万4千戸に上り、過去最多を更新したことが30日、総務省の住宅・土地統計調査(速報値)で分かった。18年の前回調査(確定値)より3千戸増えた。住宅全体に対する空き家率は16.9%。前回比で0.4ポイント減ったが、都道府県別に見ると、14番目の高さだった。劣化による倒壊のほか、防災や衛生、景観の面からも急務となっている空き家対策。県は空き家の利活用などを民間に委ねる制度を、市町に推進するなどして対策を図るとしている。

 調査によると、本県の住宅総数は97万戸で前回より4万4千戸増加した。空き家のうち賃貸や売却用、別荘などを除く空き家は6万4千戸を数え、この空き家が主に対策の対象となる。

 空き家数と空き家率はいずれも増加傾向にある。03年に10万3700戸だった空き家数は08年12万6300戸、13年14万3400戸に。03年に13.5%だった空き家率は08年15%、13年16.3%と推移した。県住宅課は「人口減少や核家族化など社会構造の変化に伴い、空き家数は増えている」としている。

 同課によると、県はこれまで空き家対策を担う市町担当者を対象に研修を実施し、解体費用など国の補助制度利用の前提となる「空き家等対策計画」の策定を推進してきた。23年度末までに24市町が策定を終えており、残る高根沢町も24年度中の策定完了を見込むという。

 能登半島地震では倒壊した空き家が避難路の妨げになったほか、所有者が分からず復興作業も滞るなどの影響が出ている。同課は「空き家化する前に手を打つことが重要だ。今後も有効な対策を検討していく」と強調。23年12月に国が新設した、空き家対策に民間を活用する制度の導入を市町に促していくという。

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