桂由美さん死去に群馬県内で悼む声 県産の絹でドレスも

 日本のブライダルファッション界の第一人者として知られたデザイナーの桂由美さんの死去を受け、作品や事業で関わった群馬県内関係者からは30日、悼む声が相次いだ。

 桂さんは、中之条町の登坂工房で飼育された天蚕の希少な糸を使い、特別なウエディングドレスを手がけた。天蚕の繭からは「繊維のダイヤモンド」とも称される光沢のある薄緑色の糸が取れる。桂さんは工房に足を運び、飼育の様子を視察したという。

 ドレスは2014年に町内でも展示された。工房の登坂昭夫代表(80)は「美しいドレスを作り、天蚕の糸の素晴らしさを全国に伝えてくれた恩人。とてもありがたかった」としのんだ。

 川場村の永井酒造は22年、桂さんが社長を務めたユミカツラインターナショナル(東京都)とコラボレーションし、同社がラベルをデザインしたスパークリング日本酒を発売した。永井酒造が取り組む尾瀬・大清水湿原の環境保全活動に共感した桂さんは、23年には尾瀬美化愛護協会(会長・梅沢志洋片品村長)へ合同で寄付金を贈っている。

 永井則吉社長(51)は「偉大な人を失った。スパークリング日本酒の製造を始めた頃に共感してもらい、勇気づけられた。心からお悔やみ申し上げたい」と悼んだ。

 寄付を受けた際に桂さんと懇談した梅沢村長は「女性活躍について、熱心に語っていたことが印象に残る。大清水湿原にぜひ行ってみたいと言われたが、それがかなわず大変残念」と話した。

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