サッカー国際審判員の長峯さん、矢板中央高のコーチ就任 那須塩原市在住 週末はJリーグ主審

矢板中央高の選手に指導する長峯さん(右)=リアンビレッジ矢板

 サッカーの国際審判員でJリーグの主審を務める長峯滉希(ながみねこうき)さん(32)=那須塩原市在住=が4月、高校サッカー男子の強豪矢板中央のコーチに就任した。週末はプロの試合で笛を吹く傍ら、試合のない平日にチームを指導。「審判は補欠やサッカーが下手だからやるもの、というイメージを変えたい」と後進育成にも意欲を見せている。

 昨春まで県立高の教員だった長峯さん。審判員の活動に専念するため一度は退職したが、今春から同校で保健体育の非常勤講師となった。社会人チームのヴェルフェたかはら那須(現ヴェルフェ矢板)で共にプレーした同校の高橋祐樹(たかはしゆうき)コーチ(33)から誘われたことがきっかけだった。

 部員約250人の大所帯でプリンスリーグ関東2部のBチームの指導を任されている。これまでJ2・J3通算66試合で主審経験を積み、間近でプロのプレーを見てきただけに、「高いレベルのスピード感を求め、チームを強くしたい」と意気込む。

 教壇に立つのは週2回。スポーツ科の授業では、審判員の資格取得に向けた競技規則などを解説する。生徒はサッカー部員が大半。約100人が県協会主催の大会を裁くことができる3級や、4級の取得を希望しているという。

 国際連盟に今年承認された日本の主審は11人。長峯さんは初選出の昨年に続き承認された。J1で審判経験がない異例の抜てきだったが、昨季は左脚を負傷。J2リーグ戦など9試合しか担当できず、「完全に棒に振った」と振り返る。

 けがも完治した今季はここまでJ2で7試合、ルヴァン・カップ1試合で主審を担当。今月はクアラルンプール(マレーシア)でアジア連盟の実技試験にも挑み、合格すれば同連盟が主催する年代別大会で笛を吹く可能性がある。

 目標は2030年に開催されるワールドカップでのジャッジ。「まずはJ1でパフォーマンスを示す。目の前のことに全力で取り組む子供たちと同じ。一つ一つ積み上げていきたい」。若い力に刺激を受けながら高みを目指している。

© 株式会社下野新聞社