世界大会4位、原点は古里 富山・魚津市出身の異色マジシャンの金盛さん

表情豊かにマジックを披露する金盛さん=2023年3月12日、高知県香美市

 「Tokyo Tomo(トーキョー・トモ)」の芸名で活動する富山県魚津市出身のプロマジシャン、金盛友哉さん(33)=高知県香美(かみ)市=が、世界を舞台に活躍している。東京大大学院出身の元学芸員という異色の経歴の持ち主で、2022年にはマジックの世界大会で4位に輝いた。「自分にしかできない演技を世界中で披露したい」と意気込む。

 金盛さんは魚津保育園(現魚津こども園)時代、園長が見せてくれたマジックに心を奪われた。小学生になると図書館で入門書を読み、地域のイベントで披露するようになった。「一人で練習しているだけでも楽しかった。驚いてもらえる見せ方を考えるのに夢中だった」と振り返る。

 富山中部高校を卒業し、国際基督教大で欧州のマジックの歴史、東京大大学院では江戸時代の日本の手品について研究した。その傍ら、デパートのおもちゃ売り場やレストランでマジックを披露し、腕を磨いた。大学院進学前の春休みには米国のマジシャン養成学校に1カ月通い、大学院時代は国内外の大会で入賞を重ねた。

 「アンパンマン」を生み出した漫画家やなせたかしさんの長年のファンで、20年に高知県香美市の「やなせたかし記念館」に学芸員として就職した。21年から専業のマジシャンとなり、22年にカナダで開かれたマジック界のオリンピック「FISM(フィズム)」にアジア代表として出場。演技のユニークさを競うコメディー部門で4位を勝ち取った。審査員は欧州出身者が中心で、アジアからの上位入賞は前例がなかったという。昨年は1年の半分近くをドイツやスペインで過ごし、現地の劇場で世界各地のマジシャンと共演した。

 得意とするのは帽子やボール、カードを使ったステージマジックだ。学生時代に研究した古典演目を現代風にアレンジし、自分にしかできない表現を追求している。VR(仮想現実)など科学技術が発達し、古典的なマジックの面白さが失われるのではないかと考えることもあるが「人々が何かを不思議に思いたいという気持ちは変わらないはず」と力を込める。

 6日には高志の国文学館で開かれる「室井滋の文学サロン」(募集は終了)に出演する。「いつかは富山の山や川の自然風景をバックにパフォーマンスをしてみたい」と、古里でも活躍の場を広げるつもりだ。

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