「必要な人が支援を受けられるように」 群馬県が「生活保護のしおり」を改訂 桐生市の不支給問題受け

 群馬県桐生市の生活保護が一部不支給だった問題で、貧困問題に取り組む専門家らでつくる全国調査団の意見を受け、県は2日までに、相談者らに渡す「生活保護のしおり」を改訂した。経済的自立を目指すことだけを強調せず、働けない人にも配慮して日常生活や社会生活の自立を支援すると明記。同市で支給が少なかったとされる通院時の交通費など条件を満たせば支給対象となるケースを追加した。

 「桐生市生活保護違法事件全国調査団」が4月に県庁を訪れ、県と意見交換した。改訂前のしおりは県が管轄する郡部のほか、桐生市など独自の窓口を持つ一部の市でもそのまま使われていた。

 しおりでは支援の目的について、改訂前は「一日も早く自分たちの力で暮らしていけるように」などと説明していたが、高齢者や障害者への配慮が不足しているとの指摘を受けたという。このため「自立した生活が送れるよう支援する制度」と改訂。自立について健康など「日常生活」、地域とつながる「社会生活」、就労する「経済的」の三つを挙げ、「利用者に合わせた支援を行う」とした。

 一方、同調査団は桐生市では医療機関に通院する交通費「通院移送費」の2022年度の支給が8件計2400円で、「他市に比べ異常に低い」と指摘。しおりには支給できる対象に明記されていなかったため、加筆した。住宅の敷金や高校のクラブ活動費なども新たに加えた。

 しおりは12ページで、県ホームページでも公表している。県地域福祉課は「通院費などは説明がないことで支給できないと誤解を受ける可能性があった。必要な方が支援を受けられるよう分かりやすく改訂した」としている。

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