ニュース番組の歴史を振り返りながら考える、メディア・ジャーナリズムの役割

5月3日「長野智子アップデート」(文化放送)、午後4時台「ニュースアップデート」のコーナーでは、ジャーナリストの青木理さんを招き、メディアとジャーナリズムについて話を伺った。

長野智子「テーマはざっくり『メディアとジャーナリズム』でお話ししてみようかなと思ってですね。というのも『サンデー毎日』に青木さんが『関口宏という生き方』という連載をスタートされて、長時間インタビューをされてると。こういう長く報道に関わってきた人をインタビューして見えてきたメディアの変化とか気づきがあったら教えていただきたいです」

青木理「『サンデーモーニング』って、スタートしたのが1987年だったんですよ。この時代って、テレビのニュース番組っていうのがものすごく大きく変わってきた時代だったんですよね。1984年に久米宏さんの『ニュースステーション』が始まって、民放がニュースショーを夜の帯でやり始めた。いまでは各局全部やってますけども、あの頃は民放が夜の10時から全部取っ払って帯でニュース番組やるっていうのは初めてで、ものすごく画期的だったわけですよね。その前はNHKで『ニュースセンター9時』っていうのが70年代にできてるんですけど、それに対抗して“報道のTBS”っていわれていたTBSが、最初森本(毅郎)さんを呼んだんだけども、その番組はあまりうまくいかなくて、1989年に『筑紫哲也 NEWS23』が始まって」

長野「『ザ・スクープ』も1989年?」

青木「そうなんですよ。80年代末っていうのは、戦後生まれたテレビっていうメディアが、いよいよニュースの面でも“ニュースメディアの王様”として君臨し始めて、それまではニュースといえば新聞だったんだけども、テレビがその座に取って代わるくらいの勢いで出てきて、久米さんの『ニュースステーション』、筑紫さんの『NEWS23』、それから鳥越・長野の『ザ・スクープ』が始まったし……」

長野「まぁ、あたしはその時代はまだ『ひょうきん族』でしたけど(笑)」

青木「それから同じ時期に関口さんの『サンデーモーニング』も始まっているんですよね。大きなテレビのニュースっていうものに対するニュースショーとかキャスターショー。これは功罪両方あったと思うんですけど、ニュースが視聴率の取れる番組として認識され始めて、ニュースショーっていうものが80年代末に日本でも遂に始まったっていう。その時期に始まったのが『サンデーモーニング』だったっていう意味で言えば、『ニュースステーション』、『NEWS23』、『ザ・スクープ』、あの辺と同じ文脈にある番組だっていうことなんですよね」

長野「はぁ〜、なるほど」

青木「リベラルが良いとか保守が悪いとかっていうのではなくて、関口さんと話してて『そうだなぁ』と思うんだけども、メディアの役割って何か、ジャーナリズムの役割って何かっていったら、一義的には正確に事実を早く広く多くの人に伝えるのがメディアの役割。まさに『長野智子アップデート』もそうだと思いますけども。一方で、時の権力者であったりとか政権であったりとか力を持ってる人とかに対して、どちらかといえば弱者の立場に立ってきちんとチェックをする、言うべきことを言うっていうのがメディアの役割っていう意味で言うと、評価は色々あるとは思いますけど、あの時代の『ニュースステーション』も『NEWS23』も『ザ・スクープ』も『サンデーモーニング』も、かなりちゃんとしていた番組がたくさんあったんだなと」

長野「その流れで言うと田原総一郎さんの『サンデープロジェクト』もそうですね。あと日テレの『きょうの出来事』とか。私が憧れていた世界だったんですけど、当時は。“ニュースのプロフェッショナル”の人たちが、視聴者が関心のないことでも『これは知っておくべきだ!』っていう、ものすごい圧と情熱でやっていたニュースだなっていうのを感じますね」

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