福島県南会津町消防団に「民報金ばれん」 水害から住民の命守る 6月15日表彰

検閲で渡部正義町長(手前左)らの点検を受ける南会津町消防団員=4月28日

 福島県下一の消防団をたたえる福島民報社の「民報金ばれん」は2024(令和6)年度、南会津町消防団(児山孝美団長・団員673人)に贈られる。同町の受賞は1954(昭和29)年に合併前の旧田島町が受けて以来。県と県消防協会、福島民報社が厳正な審査で選んだ。6月15日午前10時から二本松市民会館で開かれる第77回県消防大会で表彰される。

 南会津町消防団は2006(平成18)年3月の町村合併で田島、舘岩、伊南、南郷の旧4町村の消防団が統合した。地域は2011年7月の「新潟・福島豪雨災害」、2015年9月の「関東・東北豪雨災害」、2019年10月の台風19号による水害に見舞われた。冠水被害の他、2015年には橋が流失した。ただ、消防団が迅速な避難誘導などに当たり、人的被害は皆無だった。復旧作業でも住宅地の土砂撤去など積極的な活動で住民の生活再建に寄与した。

 空気が乾燥する春、夜間巡視や非常招集訓練を実施し、予防消防を徹底している。降雨期には土のう作成法や積工法、ロープワークなどの訓練を行い、昼夜を問わず地域の防災に注力している。冬期間は高齢者宅の訪問を展開し、民生委員らと協力して防火を呼びかけている。山に囲まれた地域で、遭難などに対応するため、山岳救助隊を組織している。

 近年、町外での会社勤めの団員が多いなどの理由で日中の消防活動に当たる人員不足が課題になっている。2010年に消防団OBを中心とした「南会津町消防団先遣隊」を設立し、現役団員をサポートして防火・初期消火活動への対応につなげている。

 町内の過去5年間の火災発生件数は2019年が4件、2020年が5件、2021年が5件、2022年が5件、2023年が8件。死者は2023年の1人のみ。

 今年で72回目を迎える民報金ばれん表彰は、福島民報社が消防団の士気高揚と防災意識の向上を目的に、1953年度から実施している。

 県の各地方振興局が活動実績や火災発生件数、消防設備の整備状況を予備審査し、県と県消防協会、福島民報社が最終審査して受賞団体を決めた。

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