憲法施行77年 改憲派「最大のチャンス」/護憲派「改憲 前文と矛盾」 長崎県内で訴え

 憲法記念日の3日、長崎県内でも改憲派と護憲派がそれぞれ集会を開き、主張を訴えた。

◎改憲派「最大のチャンス」
 改憲派は、長崎市常盤町のホテルニュータンダで「憲法フォーラム」を開催。自民党の国会議員や県議、市民ら約30人が参加した。
 東京で開かれたフォーラム冒頭をインターネット中継で視聴後、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」事務局の大葉勢清英さん(52)が講演した。

憲法改正の必要性を訴えた憲法フォーラム=長崎市、ホテルニュータンダ

 憲法9条への自衛隊明記について、台湾有事などを念頭に「(明記で)国防という崇高な理念が憲法に入り、国民も『自分の国は自分で守る』という意識が高まる。(抑止力を高めるためには)その気概を世界に示すことが重要」と強調。大規模災害や感染症から国民の命を守るため、緊急事態条項の必要性も説明した。
 改憲は「新しい日本を切り開く活力をもたらす」とし、「今、最大のチャンスが巡ってきている。自衛隊明記、緊急事態条項の新設を憲法改正の第一歩として刻みたい」と述べた。

◎護憲派「改憲 前文と矛盾」
 護憲派の市民集会「ながさき9条フェスタ」(実行委主催)は長崎市内で開かれ、政治経済アナリストで経済産業省の元官僚、古賀茂明さん(68)が講演。約300人が参加した。

改憲は「憲法の前文に矛盾する」と指摘する古賀さん=長崎市魚の町、長崎市民会館文化ホール

 古賀さんは、特定秘密保護法の成立や反撃能力(敵基地攻撃能力)保有、防衛費の増額など、安倍政権からの日本の変化を解説。
 憲法9条について「自衛隊はあるから書けば良い」「(自衛隊の活動に)歯止めをかけるために制限を書き込むべき」など、改憲を巡る意見を紹介し「日本国憲法は絶対に戦争しないということが基本。9条に『自衛のための必要最小限の実力を持つ』とすると、(不戦と平和の理念を掲げる)憲法の前文と矛盾する」と指摘した。
 講演後、参加者は市中心部の鉄橋まで行進。プラカードなどを持ち、通行人に「憲法について考えて」と呼びかけた。

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