草津温泉→六合地区 冬季に集落ごと移り住む「冬住み」…温泉地の文化に光 ミュゼ(群馬・中之条町)で企画展

市川家が所蔵した貴重な資料が並ぶ企画展

 雪深い草津温泉からふもとの六合地区へと冬季に集落ごと移り住む「冬住(ふゆず)み」の習わしを紹介する企画展「草津から六合へ 冬住みの里モノがたり」が、群馬県の中之条町歴史と民俗の博物館「ミュゼ」で開かれている。かつて草津で旅館を経営した市川家に伝わる資料を通じ、珍しい温泉地の文化に光を当てる。8月28日まで。

 冬住みは1897(明治30)年まで行われていた。標高1200メートルにある草津温泉は冬季に雪が積もると湯治客が訪れなくなる。草津の人々は旧暦10月8日に「温泉じまい」をして宿を休業し、旧暦4月8日の温泉開きまで、ふもとの小雨村などに降りて生活をした。

 市川家は、明治時代に草津の旅館「山本館」を再興した旧家。往時の暮らしぶりを伝える膨大な資料を「冬住みの里資料館」(中之条町小雨、休館)で保管してきた。企画展では資料館の所蔵品800点のうち6月19日までの前期に約180点を展示する。

 大正時代に山本館を訪れた岡倉天心や横山大観らの写真、佐久間象山、小林一茶、渡辺崋山の書画もある。山口通喜館長は「草津と六合が一体となっていた冬住みの文化や、草津に滞在した著名文人との交流の歴史について知ってほしい」と話している。

 木曜休館。同月20~28日は展示替えのため休み。問い合わせはミュゼ(☎0279-75-1922)へ。

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