“電信”による社会変化を描く名著『ヴィクトリア朝時代のインターネット』復刊

絶版状態が続いていた書籍『ヴィクトリア朝時代のインターネット』が、ハヤカワ文庫NFから5月9日(木)に刊行される。

とてつもない距離を即時に越えるコミュニケーションを可能にした電信(テレグラム)の発明史と、19世紀の欧米社会に与えた大いなる影響を、現代のインターネットになぞらえながら描いた名著だ。

視点を変えて世界史を見通すジャーナリストの書籍

『ヴィクトリア朝時代のインターネット』は、作家/ジャーナリストのトム・スタンデージさんによる書籍。

トム・スタンデージさんは、イギリスの『エコノミスト』誌のテクノロジー担当ライター。

他の著作に、世界史を飲料の視点から見通す『歴史を変えた6つの飲物 ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、茶、コーラが語る もうひとつの世界史』がある。

ほかにも、ベンジャミン・フランクリンやナポレオン・ボナパルトとも対戦したチェス指しロボットの歴史を追い、その正体を暴く『謎のチェス指し人形「ターク」』などでも知られている。

インターネットに劣らぬインパクトをもたらした電信の発明

『ヴィクトリア朝時代のインターネット』でテーマとなるのは、19世紀の西洋社会において世界をつなぎ、現代のインターネットに勝るとも劣らないインパクトをもたらした電信の発明

知られざる歴史資料や当時のエピソードから、産業革命の当時、近代の幕開けに電信がもたらした社会変化を描き出す。

1998年に原著が刊行され、日本では2011年にNTT出版から刊行。伊藤計劃さん、円城塔さんの小説『屍者の帝国』の参考文献にも挙げられるなど、SF的想像力の源流にもなってきた。

名著としての高い呼び声にも関わらず、絶版状態が続き入手困難に。現在は古本がプレミア価格で取引されていただけに、待望の復刊となりそうだ。

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