斎藤知事批判文書問題 県が関係者の処分発表、前県民局長を停職3カ月 高級トースター受け取った部長は訓告 

兵庫県庁の庁舎=神戸市中央区下山手通5

 兵庫県の斎藤元彦知事らを批判する文書を作って配布したとして、西播磨県民局長だった男性(60)が解任された問題で、県は7日、男性を停職3カ月の懲戒処分とした。内部調査の結果として「文書の内容は合理的根拠がなく、誹謗中傷に当たる」と認定した。

 県職員局などによると、男性は3月中旬、「斎藤知事の違法行為について」と題した文書を作成し、関係者や報道機関に送付。斎藤知事は「(内容は)うそ八百だ」として男性を解任、3月末に予定されていた退職も取り消した。

 男性は調査に対し「県への不信感があり、後輩職員を思っての行動だ」と動機を説明。県は、他の職員らへの聞き取りで、知事によるパワハラや各種団体への投票依頼などは確認されず、「核心的な部分が事実ではなく、知事や一部の幹部職員に対する誹謗中傷だ」と結論付けた。

 さらに男性の公用パソコンを調べたところ、人事課の管理職時代に私的に特定の職員の顔写真データを持ち出していたことや、勤務時間中に職務と無関係の私的文書を作成していたことなどが判明。県は「役職の重みや個人情報の目的外利用、職務専念義務違反など複数の不正行為を加重して処分を決めた」とした。

 男性は4月、真相究明を求めて県の公益通報制度の窓口にも通報している。

 一方、この文書で、県内企業から高級トースターなどを受け取っていたことが明らかになった産業労働部長(55)は、懲戒処分を見送り、訓告の処分とした。

 県の奨学金返済支援制度を利用する県内企業から昨年8月、コーヒーメーカーとトースター(計約6万円相当)を受け取っていたが、「PRのために受け取ろうとし、個人で取得する意志はなかった。収賄罪には該当しない」と判断。知事からの返却指示を受けたのに、半年以上怠っていたとした。(前川茂之、金 慶順)

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