アニメ映画『化け猫あんずちゃん』予告解禁 久野遥子&山下敦弘の共同監督作

久野遥子さんと山下敦弘さんが共同監督をつとめるアニメーション映画『化け猫あんずちゃん』の予告編、追加キャスト、主題歌、ポスタービジュアルが解禁となった。

メインキャラクターの少女・かりんの父親・哲也の声と動きを青木崇高さん、母の柚季を市川実和子さんが担当。主人公の化け猫・あんずちゃんの育ての親、おしょーさんを鈴木慶一さん(ムーンライダーズ)がつとめる。

また、主題歌は佐藤千亜妃さんによる「またたび」に決定した。

いましろたかし原作のアニメ映画『化け猫あんずちゃん』

『化け猫あんずちゃん』は7月19日(金)から公開されるアニメーション映画。久野遥子さんと山下敦弘さんが共同監督をつとめる。

原作はいましろたかしさんによる同名漫画。雷の鳴る豪雨の中で拾われて以来、10年、20年経っても死なず、30年経った頃に人間の言葉を話して人間のように暮らすようになった化け猫・あんずちゃんと、父に捨てられた少女・かりんの物語だ。

アニメーション制作は、『クレヨンしんちゃん』や『ドラえもん』で知られるシンエイ動画と、カンヌ国際映画祭やアヌシー国際映画祭で数々の賞を受賞する新進気鋭のフランスのスタジオ・Miyu Productionsが共同で担当。

シンエイ動画がキャラクターの動きを描き、 Miyu Productionsが背景美術と色彩を担う。

『化け猫あんずちゃん』の一風変わった制作方法

『化け猫あんずちゃん』では、実写で撮影した映像からトレースし、アニメーションにするロトスコープという手法を採用している。

従来は演奏シーンやダンスなど、人間の動きをリアルにアニメーション化する際に用いられるが、本作では撮影現場でしか生まれない“お芝居”をアニメ化するために用いられた。

もうひとつ大事な要素が、現場の掛け合いから生まれる役者の声を録音すること。声を確実に録音するため、実写班は山下敦弘監督を中心に、実写映画界の優秀なスタッフが集結した。

そして、その映像や音声をもとに、久野遥子監督がスタッフと共にアニメーションをつくり上げた。

共同監督の一人は気鋭クリエイター・久野遥子

監督の一人・久野遥子さんは、多摩美術大学在学中に制作した短編アニメ『Airy Me』が話題となった気鋭のクリエイター。

23歳の若さで、岩井俊二監督による映画『花とアリス殺人事件』のロトスコープディレクターに抜擢された。

後にNHK Eテレの人形劇『ガラピコぷ~』OPアニメを担当。TVアニメ『宝石の国』『BEASTARS』「映画クレヨンしんちゃん」シリーズなどでも活躍してきた。

なお、本作で作画監督をつとめる石舘波子さんと中内友紀恵さんとは、多摩美術大学グラフィックデザイン学科2013年卒業の同期という間柄。

前者はペンギン・ハイウェイ』作画監督、後者は『あはれ!名作くん』作画などを経て、『化け猫あんずちゃん』で3人が集結するのは、コアなアニメファンとしても注目だろう。

作家性と娯楽性とを兼ね備える山下敦弘監督

もう一人の監督・山下敦弘さんといえば、『リンダ リンダ リンダ』『天然コケッコー』『苦役列車』などを手がけ、作家性と娯楽性とを兼ね備えた作風を確立させた人物。

直近では、宮藤官九郎さんが脚本の『1秒先の彼』や、野木亜紀子さん脚本による『カラオケ行こ!』の監督をつとめた。

そんな2人が監督を担当し、俳優ほか様々な活動で知られる森山未來さんが主役をつとめる作品『化け猫あんずちゃん』。

すでに第77回カンヌ国際映画祭「監督週間」、アヌシー国際アニメーション映画祭2024 長編コンペティション部門への出品が決定している。

青木崇高「仕上がりが本当に楽しみで待ち遠しい」

青木崇高さんのコメント

とても暑い夏の日の撮影でした。
日本ならではの懐かしい情景のなか、山下組の撮影は心地のよいテンポで進んでいきました。
撮影後に未來くんと飲んだ小料理屋のビールの味は格別でした。
実は僕、あの撮影がアニメーションとどう繋がっているのかまだよく分かっていないのです…。
だからと言ってはなんですが、想像すらできていない仕上がりが本当に楽しみで待ち遠しいのです。
みなさん、ご一緒に観に行きませんか??

市川実和子さんのコメント

台本を開いてまず、あんずちゃんの風貌に一目惚れしました。お話も台詞もむちゃくちゃなのに、とっても可愛らしくて。登場人物たちは、今という時代を忘れるくらい本当にのびのびとしていました。
アニメ化するので実写撮影時はメイクもせず、衣装もみんなはゆるめな扮装で。まさに「あんずちゃん」の世界のような脱力感あふれる現場で、和やかに過ごしていたのを思い出します。アニメでも、その力の抜けたゆるい空気を楽しんでいただけたらなぁと思っています。

主題歌アーティスト・佐藤千亜妃さんのコメント

人は誰しも、"あの夏"の思い出があるんじゃないかと思います。祭りの音、ぬるいラムネ、通り雨。
「化け猫あんずちゃん」は日常と摩訶不思議な世界が隣り合わせにある作品で、まさに幼少期の頃に見た真夏の夜の夢のようです。
そして主題歌「またたび」は、それぞれの胸の中にある"あの夏"に思いを馳せる楽曲になったかなと思います。痛みを抱えながらもそれでも生きてゆく、全ての人生へ。その人生が、素敵な旅になりますように。

©️いましろたかし・講談社/化け猫あんずちゃん製作委員会

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