連休明けの憂鬱

 パソコンやスマホのおかげで「読めるけれど書けない漢字」が日ごとに増えている気がするのは当方だけではあるまい。「憂鬱(ゆううつ)」はその代表格かもしれない。そんな気分と一緒に通勤や登校に臨んだ人も少なくなさそう-と想像する大型連休明けの昨日▲この時期に気になるのは「五月病」だ。〈入学から1カ月ほど経過した学生に無気力、無関心などの軽いうつ症状がみられる〉と1960年代の初めに米国の精神科医がリポートしたのがその起源として知られる▲新しい環境になかなか適応できなかったり、スタートの緊張や期待や高揚感の反動で気分が沈んだりするのはどこの国でも同じらしい。ただし、米国の新学年は夏休み明けの9月に始まるから「五月病」の命名者は私たちの国の誰かということになりそうだ▲その日本では、せっかく落ち着き始めた新しい生活のリズムがゴールデンウイークの休みで中断されることの影響も五月病の要因として指摘される▲ああ、会社が、学校が始まる、気分も体も重い…覚えがある。しかし、カレンダーに並んだ赤い文字が「終わった途端に悪者扱いですか」と不満そうに語りかけてくるような気も▲誰にも共通する感覚だからあまり深刻に考えずに、しかし無理は禁物。自分との丁寧な対話を心掛けたい時期だ。(智)

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