HPVワクチン 正しく知って 長崎大生が出張授業 接種率の向上策議論も

HPVワクチンの接種率を向上させるアイデアについて意見を交わす湧川さん(中央奥)ら=長崎市、九州医学技術専門学校

 子宮頸(けい)がんなどの発症を予防するヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンについて、若い世代に知識を身に付けてもらおうと、長崎大医学部5年の湧川立規さん(23)が長崎市葉山1丁目の九州医学技術専門学校で出張授業をした。湧川さんは「若い時期の接種で子宮頸がんを最大90%予防できる。正しい情報を基に(接種するかどうか)判断してほしい」と呼びかけた。
 全国の医学生らでつくる「若者にHPVワクチンについて広く発信する会 Vcan」の長崎支部長である湧川さんが4月27日、臨床検査技師などを目指す2、3年生約70人に講演。30代までに年間千人ほどの女性が治療で子宮を失っている現状や、男性もワクチン接種で中咽頭がんの予防効果が期待されることなどを説明した。
 講演後は班に分かれ、接種率の向上策を議論。ワクチンの無償化や親世代への積極的な情報発信などが提案された。3年の山川睦未さん(20)は「(講話を聞いて)副反応の怖さはなくなった」と話した。
 同ワクチンを巡っては、2013年4月に小学6年~高校1年の女子を対象に定期接種が始まったが、接種後に体調不良など副反応を疑う声が相次ぎ、同6月に積極的勧奨の呼びかけを停止。その後、安全性が確認され、22年4月に積極的勧奨が再開されたが、接種率は20%程度と伸び悩んでいるという。
 中止期間に接種機会を逃した、1997年4月2日~08年4月1日生まれの女性が公費で接種できる「キャッチアップ接種」は来年3月まで。3回の接種が必要なため、全てを無料にするには、1回目を今年の夏ごろまでに接種する必要があるとしている。

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