内縁夫から「処理頼まれ、報酬は千数百万円」 指示役が供述 那須・夫婦焼損遺体

 栃木県那須町伊王野の河川敷で4月中旬に夫婦の焼損遺体が見つかった事件で、指示役とされる住所、職業不詳の男(28)=死体損壊容疑で逮捕=が、夫婦の長女の内縁の夫で事件の主導的立場とみられる東京都世田谷区、会社役員の男(32)=同=の名を挙げ、「遺体の処理を頼まれ、千数百万円の報酬を受け取った」などと供述していることが8日、捜査関係者への取材で分かった。県警と警視庁の合同捜査本部は職業不詳の男から仲介、実行役とされる容疑者へ遺体の処理が指示され、報酬を分け合ったとみて調べている。

 また捜査関係者によると、これまでに逮捕された6人はいずれも本県に土地勘はなく、本県との関わりは確認されていないという。

 死体損壊容疑で新たに逮捕されたのは32歳の男の他、千葉県船橋市、会社役員の男(36)。他の4容疑者と共謀し、東京都千代田区、会社役員の男性=当時(55)=と妻の会社役員の女性=同(56)=の遺体に火を付け、焼損させた疑い。

 夫婦は東京都・上野を中心に複数の飲食店を経営。32歳の男は夫婦の会社に勤務し、夫婦の長女と内縁関係にあった。一方、36歳の男は不動産会社を経営。夫婦が暴行を受けたとされる空き家を管理していた。

 捜査関係者によると、職業不詳の男は当初、「ある人物から遺体の処理を頼まれた」と説明。その後、32歳の男から頼まれたと供述しているという。2人は以前からの知人だった。

 夫婦は16日未明、32歳の男、36歳の男の両容疑者と共に、暴行を受けたとみられる空き家を訪れたとされる。その前日の15日から16日にかけて32歳の男と職業不詳の男が複数回、会っていたことが新たに判明。捜査本部は事件についてのやりとりや報酬の受け渡しがあったとみている。

 捜査関係者によると、32歳の男、36歳の男の両容疑者は容疑を否認している。捜査本部は8日、両容疑者を送検した。

移送のため警視庁大崎署を出る32歳の男=7日午前9時15分、東京都品川区大崎4丁目
逮捕され、警視庁大崎署に入る36歳の男=7日午前7時25分、東京都品川区大崎4丁目

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