若手栃木県職員、目立つ退職 20代、19年度5人から23年度は21人 中堅やエース級も

 若手や中堅の栃木県職員の退職が目立っている。2023年度に自己都合で退職した県職員(教員、警察官を除く)は20代で21人に上り、19年度の4倍に増加したことが3日までに、県への取材で分かった。30~40代は近年横ばいが続くが、2桁が常で、将来を嘱望された“エース級”の退職も顕著という。安定した収入が人気だった自治体職員の離職増は全国的な傾向。県も定着を促す取り組みに力を入れているが、歯止めはかかっていないのが実情だ。

 県人事課によると、20代の退職は19年度5人、20年度6人、21年度12人、22年度16人と増加している。23年度の21人は20代の職員全体の約2%に当たる。採用1年以内の離職もあった。

 個々の退職理由は聞き取っていないというが、民間企業への転職が多いとみられる。同課の担当者は「若い世代ほど転職への抵抗感は薄い」と危惧する。

 30代の退職は19~23年度、27~34人で推移。40代は22年度の6人を除いて14~17人だった。仕事ぶりが高く評価されていた職員の退職も少なくないという。

 対策として県は仕事と家庭との両立支援に加え、新規採用職員の職場に指導担当者を置くメンター制度を導入したり、職位などに応じた研修を行ったりもしている。しかし退職傾向は変わっていない。

 県内の他の自治体でも退職者は増えているとみられる。宇都宮市は「ここ数年、20代から30代の離職が増えている」。那須塩原市では50代課長が今春から上場企業に転職、40代職員が中央省庁職員に転身した。

 総務省の調査によると、22年度に自己都合で仕事を辞めた一般行政職員は1万2501人に上った。年功序列やデジタル化の遅れなど旧態依然とした働き方、待遇への不満なども背景にあるとされる。退職者増による行政サービスの低下や、業務をカバーする職員の負担が増してさらなる退職につながる悪循環も懸念されている。

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