古文書6000点超をネット公開 南砺・城端別院善徳寺

収蔵庫にある古文書を見る関係者=南砺市の城端別院善徳寺

  ●親鸞直筆など貴重史料

 南砺市の城端別院善徳寺は、親鸞直筆の「唯信紗断簡」をはじめ、富山県指定文化財の古文書など6千点超をネットで公開する。寺の文化遺産の保存や調査を担うNPO法人善徳文化護持研究振興会(善文研)が文書の解読を進めており、6月以降、解読を終えたものから順次公開する。歴史的に貴重な史料を広く知ってもらい、寺の価値を高めたい考えだ。

 善徳寺は1559(永禄2)年に現在地に移転して以来、火災に遭っておらず、親鸞直筆の古文書や仏教の教本「天文版三帖色紙和讃」など貴重な文書を多く収蔵している。

 善文研は2020年度から、善徳寺が保管する古文書類の解読を始めた。全国から募集した42人の解読者が、オンラインで作業に当たっている。2027年度までに文章10万250枚分を画像として記録する計画だ。

 これらの史料の歴史的価値を明らかにして、古文書や建造物、宝物を含めた国重要文化財指定を目指す。

 古文書の公開は、善文研が8日、善徳寺で理事会を開いて決めた。浦辻一成古文書調査班長が善徳寺のホームページに「古文書収蔵庫」をコーナーを設ける内容を説明した。

 予算案では、県や市の補助金を含めても約1千万円の事業費が不足しており、市民から寄付を募る。

 ★城端別院善徳寺 越中を代表する真宗寺院の一つであり、江戸期に加賀藩の保護を受けた。越中の「お東」の寺院を束ね、加賀藩や本山と地域の寺との連絡役となる「触頭(ふれがしら)」として有力な存在となった。1849(嘉永2)年には加賀藩前田家13代前田斉泰(なりやす)の10男・亮麿(すけまろ)を16代住職として迎えた。

© 株式会社北國新聞社