能登の職人技、映画で心寄せ 「倉庫」で毎月無料上映、復興応援 福島県会津若松市の関美工堂

大型の家庭用スクリーン(後方)での上映会などを通し、能登半島の復興の一助になりたいと語る関さん

 小さなシアターが、ものづくりの技が息づく会津と能登半島をつなぐ。漆芸品などを手がける福島県会津若松市天寧寺町の関美工堂は、伝統工芸を軸とした同社運営の交流拠点「Human Hub(ヒューマンハブ)天寧寺倉庫」で今月から、能登半島地震復興チャリティー上映会を始めた。能登の職人技を伝えるドキュメンタリー作品などを毎月1日、無料上映する。募金箱を置く他、能登の特産品の販売も計画中だ。同社の関千尋さん(52)は「職人の文化が未来へつながるよう、復興の一助になれば」と思いを語る。

 シアターは「天寧寺倉庫シネマ」と銘打ち、倉庫2階に315インチの大型家庭用スクリーンを備える。「揚げ浜式」と呼ばれる奥能登の伝統的な塩づくりや、「能登杜氏(とうじ)」にスポットを当てた映画などを通じて、被災地にとってかけがえのない、ものづくりの営みに触れてもらう。募金箱に寄せられた浄財と、能登の日本酒や塩、輪島塗などの売り上げの一部を現地に送る。当面、輪島塗を下支えする木地師の工房再建に充ててもらう計画だ。

 同社は、会津塗の市場規模縮小や後継者育成の課題を打破しようと2022(令和4)年に旧本社・倉庫を改装し、会津塗のシェア工房や地場産品販売を兼ねた天寧寺倉庫を開所した。改装時にクラウドファンディングを呼びかけた際、倉庫開所の意義に共鳴した輪島塗関係者から応援メッセージが寄せられた。「今度は、こちらが応援する番」。関さんらは地震発生日に合わせ、毎月1日の上映会を企画した。関さんは「会津と能登はものづくりという共通文化がある。会津の地で、多くの人に能登に思いをはせてほしい」と話している。

 次回のチャリティー上映会は6月1日午後4時開始の予定。定員は20人程度。

 天寧寺倉庫シネマではこの他、社会課題を扱う映像作品も毎月上映する。問い合わせは同倉庫へ。

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