夜間頻尿に悩む人が、寒暖差の激しい季節に気をつけることは?

頻尿や尿漏れの悩みは、人に相談しにくいこともあり、ひとりで抱え込んでいる人も多いことでしょう。誰にも気づかれずに、自力で頻尿・尿漏れを改善する方法を、鍼メディカルうちだ院長の内田輝和先生に教えていただきました。体が冷える時期に役立ちます。夜間頻尿をなんとかしたい方もぜひ!

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下半身が冷えると頻尿に! 冷えの改善で尿トラブルを防ぐ

真冬などに体が冷えると、健康な人でもトイレが近くなるものです。頻尿の人は暖かい季節のときよりも、排尿の回数が増えるので冬はつらい季節です。どうして体が冷えると尿意を感じやすくなるのでしょうか? その理由はおもに2つあります。

1つは体が冷えると、血行が悪くなるため、筋肉が硬くなるから。とくに下半身が冷えると、膀胱の筋肉の弾力性が低下します。弾力がなくなると、膀胱は縮むので、尿をためこむ量も少なくなります。
尿をためこむ量が少ないと、すぐに膀胱がいっぱいになるので、暖かいときより尿意を感じやすくなるのです。

もう1つは、寒いときは汗をかきにくいから。体の水分はおもに汗と尿で外に出しますが、汗をかかなければ、尿として排泄する量が増えます。そのため、トイレの回数が増えてしまうのです。

冷えによる頻尿を防ぐには、とにかく下半身を冷やさないこと。とくに冷やしてはいけないのは下腹部です。ですから、寒いときはこの部分を重点的に温めるのがポイントになります。

女性は冬でも薄着しがちですが、ちゃんとお腹が隠れるような下着をつけて、下腹部を冷やさないようにしましょう。

また下腹部を冷やさないようにするには、腹巻きも効果があります。最近は薄くて保温性の高い腹巻きもありますので、こうしたものを利用するとよいでしょう。

それでも冷えがとれないのなら、服の上から貼るカイロを利用する方法もあります。お腹の膀胱の位置に貼ると、その周辺の血行がよくなって膀胱が柔軟になるので、トイレの回数が減ってきます。
冷えの対策は、冬だけでなく夏場も冷房などによる冷えに気をつける必要があります。

意外に知られていないのが、フローリングの床に裸足で過ごすこと。フローリングの床は冷たいので、そこから冷気が上がってきて、下腹部まで冷やしてしまうのです。スリッパをはいたり、靴下をはくようにして、足の裏が冷えないようにしましょう。

また寒暖差の激しい季節なども注意が必要です。物理的に温度が下がることで体が冷えるほか、自律神経の体温調節機能が乱れて、体が冷えやすくなることもあるからです。重ね着するなどして、体温調節につとめましょう

寝る3〜4時間前に入浴すると、夜間頻尿が改善する

冷えた体を温めるのに、もっとも効果があるのは入浴です。シャワーですますのではなく、湯船にゆっくりつかって、体を温めましょう。血行がよくなって、膀胱の筋肉がやわらかくなり、膀胱に尿をたくさんためられるようになります。

また、入浴すると汗をかくので、汗からの水分代謝がよくなり、尿を作る量が減ってくるので、頻尿も改善するのです。

冷えを感じているなら、いつ入浴してもかまいませんが、夜お風呂に入ると、夜間頻尿にも効果があります。

夜間頻尿は、高齢になると増えてきますが、これは夜中に作られる尿の量が増えることが原因。もともと尿は昼間多く作られ、夜はあまり作らないようにコントロールされています。しかし高齢になると血行不良や抗利尿ホルモンの減少により、夜中に作られる尿の量が増えます。そのため、夜間頻尿の症状を訴える人が多くなるのです。

こうした加齢による夜間頻尿に効果があるのが、夜お風呂に入ることなのですが、入浴のタイミングが大事です。寝る直前の入浴ではあまり効果がないといわれているのです。

入浴すると血行がよくなりますが、血行がよくなると膀胱にたまる尿の量が増える一方、利尿作用を促すホルモンの一種が分泌されます。寝る直前にお風呂に入ると、膀胱の能力は高まるものの、尿もたくさん作られます。そのため、夜中に尿意を感じて起きてしまうことがあるのです。

逆に、早めにお風呂に入れば、柔軟になった膀胱にたっぷりたまった尿を、寝る直前に出しきることができます。このため、夜中に作られる尿を十分ためられるようになり、頻尿が改善されるのです。

ではどのくらいの時間がよいのでしょうか。一般に、入浴後に作られる尿を寝る前に出しきるには、3〜4時間は必要といわれています。4時間とすれば、夜11時に寝る人は7時、10時に寝る人は6時に入るのがベストです。それから食事をして、少し水分をとったとしても、そのくらい時間が空いていれば、寝る前に排尿できるでしょう。

ただし入浴といっても、カラスの行水では効果がないので、十分体が温まるまで入らなければなりません。汗が出てくるくらい入れば、体が温まったといえます。体を温めるには、肩までつかったほうがよいという人や、半身浴のほうがよいという人がいます。しかし、どういう入り方にするかは、その人の好みでかまいません。

※この記事は『尿もれ・頻尿は自分で治せる!』内田耀和著(主婦の友社刊)の内容をWEB掲載のため再編集しています。
※2023年2月26日に配信した記事を再編集しています。


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