被災家屋などから史料を運び出す能登町教委の「文化財レスキュー」の取り組みがきっかけで、同町小木の民家で保管されていた古い輪島塗が新たな持ち主に引き継がれることになった。10日には町内の支援団体が預かりに訪れ、次の使い手に手渡される。
輪島塗は約110人分の膳と椀(わん)の一式で、100年以上前に作られた。約50年前まで冠婚葬祭や祭礼などで使われてきたという。
所有者が貴重な漆器を新たな持ち主に継承したいと相談。民宿を営むベンジャミン・フラットさん(58)=同町矢波=が設立した一般社団法人「能登地震地域復興サポート」が預かることになった。
10日は町教委の学芸員やフラットさんら5人が訪れ、倉庫から木箱に入れられた輪島塗を運び出した。
これまで約30人から約700人分の輪島塗を預かっており、フラットさんは「まずはお預かりし、大切に未来へつないでくれる方にお渡ししたい」と話した。