鶴岡市内循環バス、リニューアル後利用好調 高齢者の足に、観光需要も

リニューアル後に利用者が増加している市内循環バス=鶴岡市

 鶴岡市の庄交コーポレーション(国井英夫社長)グループの庄内交通(村紀明社長)が運行する同市の市内循環バス利用が好調だ。2022年10月に増便するなど大幅リニューアルし、それ以前と比べ直近半年間の利用者は5倍近くに増えた。同社は高齢者の通院や買い物の移動手段として定着し、観光需要も取り込んでいると分析。全国でバス路線の廃止が相次ぐ中、持続可能な運行へ一層の利用拡大を目指している。

 循環バスは従来の1日12便から48便、バス停は58カ所から80カ所に増やした。平日2コースのみの運行も土日曜祝日も含めた3コースに拡大。住宅街の狭い道も通れるようバスは26人乗りから12人乗りに変更し、1人暮らしの高齢者が多い地域にバス停を配置した。運賃は1回乗車300円。ICカード限定で500円で1日乗り放題になる料金体系なども設定した。

 直近の23年10月から24年3月の利用者は4万1961人だった。リニューアル前の21年10月から22年3月までの8971人と比べると4.7倍に上る。22年10月から23年3月の3万1064人と比較しても、1.4倍に伸びている。

 「快走」理由の一つとするのが高齢者への周知の浸透だ。医療機関やスーパーの位置を細かく記した路線図入りの時刻表を約2万9千世帯に配布した。町内会の集まりや市主催イベントに予備のバスを持ち込み、ICカードの使い方やルートを説明するなど、地道なPRが功を奏しているという。

 もう一つが休日の市街地観光の利用促進という。23年9月に路線図と共に観光地を紹介したパンフレットを作り、主要観光施設に置いたところ、増刷分を含めた5千部は2カ月ほどでなくなるなど関心の高さがうかがえた。現在は飲食店情報を掲載した新たなパンフレットを作成中で、6月中旬に2万部を発行予定。

 一方、現在の乗車率は1台当たり平均5割程度で、路線維持のため市の補助金を受けている。今後は高齢化進展に伴って運転免許証自主返納の加速化も見込まれ、公共交通の重要性は増す。同社の高橋広司専務は「リニューアル前は利用者が減少傾向だった。今後はベンチの設置などバス停の環境整備も検討しながら、利用拡大に努めたい」と話している。

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