山形市の山形美術館で開催中の開館60周年記念展「カンヴァスの同伴者たち 高橋龍太郎コレクション」で、上山市在住の日本画家・金子富之さん(45)のトークイベントが6日、同館で行われた。金子さんは出品作「赤山地龍」を紹介しながら、妖怪や神様を描く思いや制作時の心のバランスの保ち方などを語った。
金子さんは埼玉県出身で、東北芸術工科大(山形市)大学院を修了。現在は上山市内に住み、その土地にちなんだ神社などを描いている。「赤山地龍」は上山の鉱山や地下水からイメージした大地の龍で、「不可視の存在を表現した。自分に近いと実感が湧き、描く力が出る」と解説した。
書く瞑想(めいそう)とも言われるジャーナリングに取り組んでおり、書き記した言葉を「自分は自分の延長上にしかなれない」「結果ばかりを追い求めず、道のりを楽しむ」と紹介。「ドローイングとジャーナリングで心や頭を整え、次の制作に役立てている」と話した。来場者約70人が聞き入った。
「カンヴァスの同伴者たち」は今月26日まで。主催は山形新聞、山形放送、山形美術館。