山形市土坂の市西蔵王放牧場で10日、今季の放牧が始まった。初日は乳用と肉用の牛計16頭が80ヘクタール超の広大な牧草地に放たれた。
山形、天童両市の酪農家計3戸が育てる乳牛5頭、肉牛11頭が入牧した。生産者らが手綱を引いて牛をトラックから下ろし、体高や体重を計測して草地に誘導した。牛たちは、みずみずしく生い茂る牧草を前に待ち切れないのか、犬のように尾を振る姿も。風に揺れて波打つ緑の草原に「モー」と元気な鳴き声を響かせていた。
同放牧場は瀧山(りゅうざん)(1362メートル)中腹の標高600~820メートルに位置し、総面積81.4ヘクタール、うち草地は48ヘクタール。5~10月の平均気温は約15度と過ごしやすく、新鮮な牧草を食べながら斜面を動き回ることで、足腰を鍛えて出産に備えるという。今季は10月下旬まで、計44頭が入牧する。
資源高や円安の影響で飼料価格が高騰しているといい、石山牧場(山形市)の石山一幸社長(53)は「経費削減につながり、農家にもありがたい環境。おいしい牛乳ができるよう健康に育ってほしい」と話した。