よみがえれ千枚田 輪島、修復完了の120枚田植え 全国オーナーら50人

千枚田で泥の感触を楽しみながら苗を植えるオーナー会員=11日午前10時40分、輪島市白米町

 能登半島地震で被災した輪島市の国名勝「白米(しろよね)千枚田」で11日、田植えが始まった。今年の作付けは1004枚の田んぼのうち、被害がないか、修復が完了した120枚が対象となり、初日は全国のオーナー会員ら約50人が参加した。参加者は日本海に面した急斜面に広がる棚田の風景が一日も早くよみがえるよう願いを込め、膝まで泥に漬かりながら、丁寧な手つきで苗を植え込んだ。

 千枚田を維持管理する地元のボランティア団体「白米千枚田愛耕(あいこう)会」と、棚田を借りているオーナー会員らが参加。会員らは愛耕会のメンバーから田植えのこつを学び、棚田の一角の十数枚に早生(わせ)品種「能登ひかり」の苗を植えた。

 初めてはだしで田んぼに入った大津市の恵美柚希(ゆずき)さん(9)は泥に足を取られながら「米を作るのは大変だけど、面白い」と笑顔を見せた。金沢市の会社員徳村豊さん(54)は「田植えができて良かった。稲が実り、復興につながるとうれしい」と話した。

 田植え前に開会式が行われ、坂口茂輪島市長はオーナー会員らの支援に謝意を述べ「千枚田復興の第一歩にしたい」と語り、世界農業遺産「能登の里山里海」のシンボルである棚田の再生へ決意を込めた。

 愛耕会会長の白尾友一さん(60)は「震災当初はここまで来られるとは思っていなかった」と言葉を詰まらせながら、「先は長いが、来年はもっと元気な田んぼを一枚一枚増やしていきたい」と語った。

  ●枚数増える可能性

 千枚田は約4ヘクタールに大小の田んぼが連なる。元日の地震で大きなひび割れが生じるなどし、水利設備を含め約8割の田んぼに被害が出た。現地確認を基に当初は約60枚で田植えを予定していたが、応急復旧が進み、対象が広がった。

 千枚田は過去にも地滑りなどの被害に見舞われながら、復旧してきた。市や愛耕会によると、海側の斜面が大きく崩れており、今後、応急復旧で田んぼを整える際、1枚当たりの面積が狭くなり、枚数が増える可能性があるという。

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