指示は殺害、新たな局面へ 那須・夫婦焼損遺体事件 動機や経緯の解明急ぐ

警視庁

 栃木県那須町伊王野で4月中旬、東京都内の夫婦の焼損遺体が見つかった死体損壊事件は11日、殺人事件という新たな局面を迎えた。殺人容疑で再逮捕された埼玉県越谷市、建設業の男(25)は夫婦の殺害と遺体の処理を指示され、実行役とされる男2人に頼んだとされる。主導役から指示役、仲介役の建設業の男、実行役-。指示と報酬が流れた構図が浮かぶ。他の5容疑者は事件にどう関与したのか。捜査本部は解明を急ぐ。

 捜査関係者によると、建設業の男は調べに対し、指示役とされる住所、職業不詳の男(28)=死体損壊容疑で逮捕=から「遺体の処理を頼まれた」と供述していた。しかし、その依頼の内容は「夫婦の殺害」だった。

 捜査本部によると、建設業の男の関係先から現金約700万円が押収された。調べに対し「報酬として900万円を受け取った」と供述。ただ、夫婦が殺害されたとされる4月16日未明、事件現場の東京都品川区の空き家内に建設業の男はいなかったという。

 夫婦を暴行し殺害の実行行為をしたのは誰か。殺害の指示を受けたとみられるのが、実行役とされるいずれも住所、職業不詳で、韓国籍の男(20)と日本国籍の男(20)の両容疑者だ。同15日深夜から16日未明にかけて夫婦に暴行を加えた疑いがある。その後、夫婦の遺体を車に乗せ、那須町方面に向かったとみられている。

 建設業の男ら4人はいずれも夫婦と面識はなく、調べに対し「報酬目的だった」と供述している。

 これまでの捜査で、事件を主導したとされるのは、夫婦の長女の内縁の夫で夫婦の会社に勤務していた東京都世田谷区、会社役員の男(32)。職業不詳の男(28)は「会社役員の男から遺体の処理を頼まれ、千数百万円の報酬を受け取った」などと供述。事件の指示が会社役員の男から職業不詳の男(28)、建設業の男、実行役へ、報酬とともに流れていったとみられる。

 複数人がさまざまな役割で関与したとみられる死体損壊、殺人事件。捜査本部は各容疑者の供述を精査し、動機や経緯、役割分担を調べている。

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