【マレーシア】海外再投資の認可迅速化、中銀が新制度検討[経済]

マレーシア中央銀行は、海外事業で獲得した外貨をリンギに両替した企業が再び海外で再投資を実施する場合、迅速に事前認可を与える制度を導入する方針だ。再投資の煩雑な手続きを回避するため、外貨を国内に持ち帰らない企業が多い現状を改善する狙い。エッジ(電子版)が10日伝えた。

中銀のアドナン・ザイラニ副総裁は同日に開催された「国家経済フォーラム2024」で、外貨残高をリンギに両替した企業が速やかに海外での再投資を実現できるよう、認可プロセスの簡素化、迅速化に取り組んでいきたいとの意向を表明。「現時点で認可手続きを敬遠している企業が外貨をリンギに両替するようになれば、年間で少なくとも60億~70億米ドル(約9,350億~1兆900億円)相当の外貨収入が見込めるようになる」と述べた。

中銀は新制度の導入に向け、既に一部の企業を対象に試験的な取り組みを実施している。アドナン副総裁は「企業の反応は極めて良好だ。すぐに外貨をリンギに両替した企業もあった」とコメントした。

マレーシア政府は対米ドルで歴史的安値となっているリンギ相場の下支え策として、リンギ安が追い風になっている輸出企業に対して、収益をリンギに両替し、取引の決済にリンギを使うよう求めるほか、政府系企業や政府系投資会社が海外投資による収益を本国に送金し、リンギに両替することなどを求めている。

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